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<タイ・クーデター>内幕 前首相の非常事態宣言察知、決行

 【バンコク藤田悟、浦松丈二】タイ国軍による19日夜のクーデターは、タクシン首相が20日に非常事態宣言を予定しているとの情報を国軍が入手し、先手を打って前夜に決行されたことが23日分かった。国軍関係者が毎日新聞に明らかにした。クーデター決行が1日遅れていれば、タクシン氏による非常事態宣言が発効してクーデターが未然に防がれていた可能性が高く、政権と国軍による水面下でのぎりぎりの駆け引きが行われていたようだ。

 国軍関係者によると、クーデターを首謀したソンティ陸軍司令官ら軍高官は、政治混乱を終わらせるため、今月初めにクーデター計画を決め、決行のタイミングを計っていた。

 ところが、タクシン氏がクーデター計画を事前に察知。20日夜に首相退陣を要求する市民団体の集会が予定されていたのに合わせ、首相支持の住民や警官隊を動員して集会参加者との衝突状況を作り出し、混乱収拾を名目に非常事態を宣言して権力維持を図るとのシナリオを描いたという。

 これに対し、ソンティ司令官らは数日前に非常事態宣言の情報を入手し、宣言が予定された前夜というぎりぎりのタイミングを選んでクーデター決行に踏み切った。

 19日夜、国連総会出席のためニューヨークを訪問していたタクシン氏は、国軍によるクーデターを知り、同日午後10時(日本時間20日午前0時)過ぎにテレビを通じて非常事態を宣言し、クーデターを阻止しようとした。しかし、この時点では既に国軍は首相府や国会議事堂など主要個所に戦車や兵士を動員して首都バンコクを制圧しており、非常事態宣言は手遅れとなって効力を発揮しなかった。

 国軍がクーデターを計画した理由は(1)タクシン氏に王室を軽視する発言が目立ち、王室を擁護するためには首相の排除が不可避だった(2)タクシン政権の汚職体質が深刻化していたのに、ばらまき型政治によってやり直し選挙でも与党勝利が予想され、クーデター以外にタクシン政権を断ち切る手段がなかった――という判断が強く働いたという。

(毎日新聞) - 9月24日3時6分更新

by deracine69 | 2006-09-24 03:06  

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