中国の若者に「下流社会」傾向
日本で大ヒットした『下流社会』。その概念を用いて、中国都市部の若者の傾向を探る中国人ブロガーの観点より。以下は、最近の『中国青年報』の内容である。
仕事、生活のストレスが都市の青年を急激に「下流社会」へ向かわせている。以下の項目が「下流社会」の目安であり、多くの若者がこれに符号するようだ。
・具体的な人生設計がない
・一人暮らしが好き
・国家の大事に興味がない
・他人と比較されるのが嫌い
・面倒なことが嫌い、出不精、なりふりを飾らない
・外で仕事がしたくない
「下流社会」は「上流社会」に対する概念であり、2005年に日本でベストセラーになった本に由来する。大量の若者が空前の厳しい競争環境のもと、仕事や家庭で責任を負うことから逃避し、仕事、恋愛、勉強を放棄し、最終的には社会から脱落する。多くの若者は、毎日ネットゲームにふけり、具体的な人生設計を何も持たず、他人と比較されるのを嫌う。そして現実の競争の厳しさに直面し、まだ「中流」にも登っていないのに、落ちていく一方だ。
本来、若者と言えば、勢いがあり、創意に溢れ、ひたむきに努力し、社会の活力源であるという印象がある。しかし昨今の大多数の若者は厳しい現実に直面して、ただ逃避することだけを覚えてしまった。
仕事で努力し、優秀な成績をおさめ、実力さえあればよいという理屈もあるが、しかし現実ではほとんど通用しない。現代社会では、卒業証書、学歴、実力などは虚構であり、人々は人脈や関係だけを重視する。仕事を懸命にこなしても相変わらず元のままであると、若者の心理バランスが崩れる。
しかし解決方法を得ることができず、ただ虚構に浸るようになる。現代の大部分の若者に欠乏しているものは忍耐力であり、自分の実力が10年、20年待ってようやく重視されることに耐えられない。
理想を追求する多くの若者にとって、これは致命的な打撃である。給料があまり上がらず、しかし生活費はかえって急伸する。家賃、物価も高騰、仕事のストレスも増加する。昇進の望みがなく、理想や希望も漠然としていて、上からも下からも注視される。圧力で呼吸ができず、「下流社会」で静かな日々を過ごしたいと思うようになるのも無理はない。
2006年12月01日20時58分 サーチナ
by deracine69 | 2006-12-01 20:58 | アジア・大洋州