安倍首相「顔」見えず 改革イメージ、後退感

12月13日8時0分配信 産経新聞

 郵政造反組の復党問題や道路特定財源の一般財源化をめぐり、国民世論の逆風を受けている安倍内閣。平成19年度の新規国債発行額では、過去最大の減額を指示するなど自ら改革の旗振り役を演じている安倍晋三首相だが、他の内政諸課題では政権浮揚につながる決定打を放てず、改革イメージがじわり後退した印象は否めない。

 ▼児童手当、パート労働者

 12日に決着した児童手当の乳幼児加算について安倍首相は、「私の内閣で少子化傾向を減速させる意志を示したい」と胸を張った。だが、第3子以降は据え置かれ、財源も19年度分しか担保されなかったことに、与党内からは「後先を考えない場当たり的対応だ」(自民党中堅)と不満の声が広がっている。

 中途半端な決着に終わったのは、首相が社会保障費の伸びを2200億円抑制する19年度概算要求基準(シーリング)を優先するあまり、定率減税全廃による増収分などを充て別枠予算とする政治決断を下さなかったためだ。

 それどころか、一時は財務省に押され政府内で児童手当見送り論が広がるなど、首相の顔は最後まで見えず、あわてた公明党の北側一雄幹事長が官邸に駆けつける一幕もあった。

 パート労働者への厚生年金適用拡大も尻すぼみになりつつある。正社員とパートの格差是正への理解は広がらず、パート労働者から手取りが減ることへの反発すら出る始末。与党内では負担増を嫌う経済界などの反発に配慮すべきだとの意見も強まり、週20時間以上のパートを対象とする当初案は大きく後退しそうな雲行きだ。

 ▼ニート・フリーター、労働法制

 安倍内閣の重点政策の1つである、ニートやフリーター対策を含む「再チャレンジ支援策」。首相は今年9月の所信表明演説で「平成22年までにフリーターをピーク時の8割に減らす」と語った。だが、フリーターの大幅削減の一手として導入が期待された国家公務員のフリーター採用枠は、人事院などの判断でフリーター専用枠を設けるのではなく、就業者を含めて広く中途採用を実施する中でフリーターも採用する-という形にとどまる見通しだ。

 人事院は、国家公務員III種(高卒程度)と同内容程度の試験内容で約100人の採用を予定。試験実施の費用として約940万円を概算要求に盛り込んだ。人事院は「結果としてフリーターにチャンスを与えることになり、前進している」と改革後退との批判を打ち消すのに躍起だ。

 一方、フリーターや高齢者らを採用する企業に税の優遇を行う「再チャレンジ税制」は、自民党税制調査会が、平成19年度税制改正大綱に盛り込む方針。しかし、内閣府は「フリーターをどう定義するかは今後の課題」とし、実施に向けた具体的な作業はこれからだ。

 ▼規制改革、市場化テスト

 首相の提唱するイノベーション(技術革新)に欠かせないのが、規制改革と各分野での民間開放だ。首相は「規制改革推進はイノベーションの創造に資する」と国会答弁で重要性を強調した。

 だが、現実には規制改革が目に見えて進んでいるとは言い難い。政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は7月の中間答申で「教育委員会設置義務の撤廃」を盛り込んだ。だが、今月下旬にまとめる最終答申では「抜本的な改革を行うべきだ」との表現にとどまる見通しだからだ。

 また、NHK改革についても、中間答申で衛星放送のうち2チャンネルを「2011年度までに民間開放」としていたのを「衛星放送の3チャンネルの再編成」とし、後退した感は否めない。

 公共サービスの担い手を行政と民間による競争入札で決める市場化テストは民間だけの競争入札になる見通し。官民競争入札で官が落札した場合「人員の確保が必要で公務員削減の流れに反する」(内閣府)との理由からだが、行政と民間が競い合う本来の姿とはかけ離れた格好だ。

 ハローワークの職業紹介事業での民間活力の導入は、厚生労働省が「国際条約に反する」と反対し、来春へ結論は先送りされた。
[PR]

by deracine69 | 2006-12-13 08:00 | 政治  

<< 「児童虐待」立ち入り207件 ... 山中湖村の調整池関連工事、前村... >>