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<安倍内閣支持率>不支持が逆転 出口なき悪循環 

2月26日3時4分配信 毎日新聞

 毎日新聞の24、25日の全国世論調査で、内閣支持と不支持が逆転したことは、国民的人気が「支持基盤」とされた安倍晋三首相の政権運営に暗雲が漂い始めたことを示している。閣僚が足を引っ張り、その閣僚を首相が守ることで支持率が低下するという悪循環。政権浮揚策が見当たらない状況が続けば、早期の内閣改造を求める声が再び勢いを増す可能性がある。統一地方選、参院選に向け、首相は難しいかじ取りを強いられそうだ。【鬼木浩文、宮下正己】

 ◇「柳沢発言」対応に批判

 「柳沢伯夫厚生労働相の『産む機械』発言は、政権にとってノドに刺さったトゲだ。いつか辞めさせなければいけない」

 首相の出身派閥の自民党町村派幹部は25日、逆転という結果を受け、柳沢厚労相を残留さ
せた首相の対応を批判した。

 世論が支持率続落の要因に挙げたトップも「閣僚の相次ぐ失言」。さらに、柳沢厚労相を「辞めさせるべきだった」との回答が59%で、内閣不支持層に限っては81%に上った。与党内に強かった更迭論を拒否した首相の対応が、支持率下落傾向に拍車をかけたことがうかがえた。

 一方、不支持理由では「首相の指導力に期待できないから」がどんどん増えており、自民党内からは「指導力不足は党内掌握にも当てはまる」との指摘が出ている。山崎拓前副総裁は、中川秀直幹事長が閣僚に首相への忠誠心を求めたことを取り上げ、「かえって首相に敬意が払われていないということを世間に知らせてしまうことになった」と語った。

 「他人の意見に従って不承不承やり、支持率を下げたのでは悔いが残る。しかし、自分の思い通りにやり、その結果支持率が下がっても自己責任だというのが、今の首相の気持ちだ」

 支持率続落の中、首相周辺が代弁する。首相が23日、郵政造反落選組の衛藤晟一氏(参院比例代表への転身を希望)の復党を容認する意向を表明したのは、その象徴的なケースなのだろう。

 ただ、こうした「開き直り」は政府・与党内に深刻な亀裂を生む懸念をはらむ。衛藤氏の復党問題では、参院比例での選挙協力が困難になる公明党が極めて強い不快感を示す。自民党内でも舛添要一参院政審会長が「百害あって一利なし。首相の判断は間違っている。07年度予算成立後に内閣改造を断行しなければ安倍内閣はもたない」と、内閣改造にまで踏み込んだ批判を展開した。

 小泉純一郎前首相は20日、中川氏や塩崎恭久官房長官らに「支持率は上がったり下がったりするもの。いちいち気にするな」と語り、政府・与党一体となった政権運営を求めた。前首相の発言が重みを持つこと自体、安倍首相の求心力低下の表れでもある。

 ◇広い世代で「安倍離れ」

 支持、不支持が逆転した内閣支持の調査結果を詳しく見ると、40~50代の働き盛り世代と女性の「支持離れ」が進んだことが浮かび上がる。

 支持率を年代別に見ると、60代と70代以上を除くすべての年代で1月の前回調査よりダウン。特に40代は40%から10ポイント急落の30%、50代も4ポイント減の39%となった。不支持率は40代が48%(前回比9ポイント増)、50代は46%(同6ポイント増)と半数近くに達し、両年代とも初めて不支持が上回った。

 前回は各年代を通じ、初めて20代で逆転したが、そうした流れが上の世代に波及しつつあることがうかがえた。その20代の支持離れも止まらず、支持率は27%で前回比2ポイント減にとどまったものの、不支持率は10ポイント増の47%。30代、60代、70代以上の支持率は、それぞれ36%(前回比1ポイント減)、43%(同2ポイント増)、47%(同)で、下げ止まり感を見せる結果となった。

 男女別でみると、男性の支持率は前回と同じ36%だったが、女性は7ポイント減の36%。男女ともに支持率は続落傾向を示してきたが、一貫して女性が男性より高い支持率を維持してきており、男女同率となったのは初。女性の不支持率は8ポイント増の37%で、女性にも逆転現象が起きた。

 支持政党別の内閣支持率は、自民党支持層が5ポイント減の71%、無党派層が2ポイント減の25%。公明党支持層は2ポイント増の57%だった。

 ◇拉致問題も打開困難

 安倍晋三内閣への支持が不支持を下回る中、拉致問題が政権の命綱となりつつある。拉致問題は「安倍人気」を支えたテーマで、首相が25日に新潟市で拉致被害者と面会したのは、揺るぎない姿勢を示す狙いがある。ただ、3月上旬にも予定される日朝国交正常化作業部会で拉致問題の進展が得られる見通しはなく、進展がなければ逆に苦しい立場に追い込まれる可能性がある。

 北朝鮮の核問題をめぐる先の6カ国協議で、政府は「拉致問題で進展がなければ、エネルギー支援はしない」方針を貫いた。合意文書に設置が盛り込まれた作業部会について、首相は「北朝鮮こそ、作業部会で拉致問題を解決しなければ、望むものは得られない」と強硬路線維持を強調する。

 ただ、北朝鮮の「拉致問題は解決済み」との態度を変えさせることができるかは不透明。米政府が北朝鮮との交渉を進めれば、日本は孤立化しかねず、政府内でも「拉致問題置き去り」への懸念が消えない。

 それに拍車をかけるように、自民党からは政局的思惑も絡み、「作業部会で拉致問題を協議するのは限界がある」(山崎拓前副総裁)、「諸外国は拉致問題に『理解』と言うが、外交辞令に近い。置いてきぼりにされる可能性が高い」(加藤紘一元幹事長)などの悲観論が出てきた。

 このため、首相は20日に拉致被害者の家族会と面会し、6カ国協議の結果を直接説明。21日のチェイニー米副大統領との会談でも「拉致問題の解決は共通の課題だ」との発言を引き出し、拉致被害者や家族会の不安の払しょくに躍起となっている。25日の新潟訪問もその一環だ。

 家族会の横田早紀江さんは20日の首相との面会後、記者団に「安倍さんを信じています。揺るがないで下さいとみんなで言った」と語った。こうした思いを熟知している首相。結果を出せば政権の追い風になるが、進展がなければ板ばさみになる。

 政府関係者は「ハードルを高く上げているだけに『進展』も中身が求められる。政権にとって取り扱いが極めて難しい問題になっている」と指摘した。【西田進一郎】

by deracine69 | 2007-02-26 03:04 | 政治  

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