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神学校、タリバーン化 独自の警察活動 パキスタン首都

2007年04月09日12時38分 朝日新聞

 パキスタンの首都イスラマバード都心部のマドラサ(イスラム神学校)が、アフガニスタンの旧政権勢力タリバーンと同様の「宗教警察」活動に乗りだし、国内に衝撃を与えている。ムシャラフ大統領はかねて「タリバーン化は阻止する」と公言してきたが、取り締まれば宗教界の反発を招くのは必至。大統領選など重要な政治日程を控えた時期だけに、世論の刺激を恐れる政府は対応に苦慮している。

 首都中心部にあるマドラサの幹部アブドゥル・アジズ師は6日、約3000人の支持者への演説で、イスラムの教えに基づいて善悪を判断する私設のイスラム裁判所の設立を宣言。売春や音楽ビデオ販売など「反イスラム」的な行為を政府が摘発しなければ「我々が行動を起こす」と語った。

 さらに、「政府が我々を弾圧するならば自爆テロで対応する。犠牲を覚悟した者は数千人いる」と脅迫した。

 このマドラサはタリバーンとの関係が指摘されており、すでに一部の学生は「宗教警察」活動を始めている。女学生たちは3月下旬、売春組織を運営していたとされる60代の女性を拉致して2日間にわたって監禁。さらにビデオ販売店を巡り、女性が出演する映画や音楽ビデオの販売中止を強要した。

 アフガンと国境を接するパキスタン部族地域では最近、男性へのあごひげ強要や女学校が閉鎖されるなど「タリバーン化」が進んでいるが、富裕層の多い首都でこうした動きが表面化したのは初めて。地元メディアは「タリバーン化が全国に広まった」(ニューズ紙)と強い懸念を示している。

 一方、ムシャラフ大統領は6日、「特定集団が思想を無理強いするのは真のイスラムではない。自爆テロもイスラムの教えに反する」とマドラサ側を批判した。しかし地元記者によると、警察当局は拉致事件の捜査に着手していない。「全国の宗教指導者の反発を恐れ、断固とした態度を取れないため」という。

 首都では3月以降、同大統領がチョードリ最高裁長官に下した停職処分をきっかけに反政府デモが何度も起きている。今夏以降、同大統領の再選をかけた大統領選と総選挙が控えており、政権側には、これ以上の混乱は避けたい思惑があるとみられる。

by deracine69 | 2007-04-09 12:38 | イラク戦争  

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