土曜解説:小池新防衛相の原爆投下認識=政治部・中澤雄大

2007年7月21日 毎日新聞 

 ◇「現実」と「非核」、整合性を欠く

 原爆投下に関する「しょうがない」発言で辞任した久間章生前防衛相の後任に小池百合子防衛相が就任した。4日の就任会見で原爆投下や核に対する認識が問われたが、原爆投下を「人類への挑戦」と批判する一方、安全保障を米国の「核の傘」に委ねている現実と「非核三原則」の整合性については歯切れ悪い答えも目立った。
政界の渡り鳥
 「多くの方が亡くなり、今も後遺症に苦しんでいる方が大勢いる事実を直視すべきだ」。約1時間にわたった会見で小池氏は、原爆投下について「人道的に認められない」との立場を強調。一方で、久間発言を「核廃絶の旗振りをする上で『しょうがない』と言ってしまえば、そこで終わってしまう」と批判した。

 しかし、会見前日に米国のロバート・ジョゼフ核不拡散担当特使(前国務次官)が原爆投下について「戦争を終わらせ、数百万人の日本人の命を救った」と語ったことへの認識を問われると、「日本の見解と異なる」と反論したものの、日本の見解を米側に伝えることには消極的な姿勢を示した

 日本は核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という「非核三原則」を国是とする一方、日米安全保障条約の下、国の安全を米国の「核の傘」に頼っている現実もある。会見で小池氏は「(核の傘という)抑止力の下で、核兵器を含むあらゆる事態に対応できる、すきのない防衛体制を構築する」と発言。「核兵器使用は国際法上違法か」との質問には「法律的なことやこれまでの国際的推移を研究したい」と述べるにとどまった。

 小池氏は03年11月、毎日新聞の衆院議員アンケートで、日本の核武装について「国際情勢によっては検討すべきだ」と答えた。昨年10月の北朝鮮核実験を受け、核武装論議を容認した中川昭一自民党政調会長、麻生太郎外相らと同様の答えだ。ちなみに久間氏は「将来にわたって検討すべきではない」を選んでいた。

 自らも被爆者で核問題に詳しい土山秀夫元長崎大学長は「日本が核を持てば、米国の『核の傘』に入るという日本の安保の根幹を揺るがすと同時に、世界から見放されるだろう。小池氏の考えを聞きたい」と語る。小池氏の会見は、前任者が国内外に与えた不信感をぬぐい去ったとは言い難い。被爆地の広島、長崎は間もなく原爆忌を迎える。被爆国の防衛相として、小池氏は改めて、自らの見解を直接被爆者に語るべきだ。
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by deracine69 | 2007-07-21 08:00 | 政治  

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