【花岡信昭の政論探求】過半数獲得工作 開票後が本番

2007/07/25 08:35 産経新聞

 参院選は「自民惨敗」予測がもっぱらだ。その要因とされるのは「年金不信」「政治とカネ」「閣僚の失言」などである。すべて安倍晋三首相の「失政」として指弾されるべきなのかどうか。「安倍たたき」がなにやら「ファッション化」しているかのような異様な状況が生まれている。

 投票日までに世間がもう少し冷静になって「揺り戻し」が起きそうな気もするが、ともあれ、産経新聞の予測だと、自民44、公明11、合わせて与党は55議席だ。最大に見積もっても自公で61議席というのだから、過半数到達ライン64議席に及ばない。

 そうなると、この選挙は開票結果が出てからが政局の「本番」といえそうだ。実は過半数ラインには隠された「のりしろ」がある。これは結果が出てから固まっていくのである。

 現時点で想定できるのは、新党日本を離党した荒井広幸氏や無所属で当選確実な候補ら3人程度が自民党サイドに立つとみられる。これに国民新党がどういう行動を取るか、民主党からの一本釣りはあるのか、といった不確定要素を考えると、過半数ラインは微妙に変化する。

 おそらくはすでに水面下でそうした事態に備えた交渉が、ひそかに進められているのであろう。開票結果が出れば、過半数獲得工作は一気に本格化する。

 その帰趨(きすう)は安倍首相の進退問題を左右する。もっとも、たとえ与党が過半数割れとなっても、首相の退陣はないとする見方も強まっている。参院選は政権選択の選挙ではないというスジ論からすれば、これも分かる。

 自民党内にも、かつてのような派閥次元の反主流派連合ができて即刻退陣を求めるという雰囲気はない。9年前、橋本龍太郎氏は参院選敗北(44議席)で退陣に追い込まれたが、その再現はないということになる。党内に「44議席が退陣ライン」といった声はほとんど聞かれなくなった。

 自公与党側がなんとか過半数を獲得しながらも、民主党が第一党になるというケースも考えられる。その場合、議長人事が厄介なことになりそうだ。

 参院議長は第一党から、副議長は第二党からというのが慣例だが、細川連立政権樹立を演出した小沢一郎・現民主党代表は土井たか子衆院議長(当時・社会党)を誕生させた。そうした経緯を考えると、どういう展開になるか。

 いずれにしろ、かつてない様相の選挙だ。憲法改正、集団的自衛権、歴史認識といった「国家のありよう」に直結するテーマがまったく論じられていない実態だけは、厳しく見つめていかねばなるまい。

(客員編集委員 花岡信昭)
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by deracine69 | 2007-07-26 08:35 | 政治  

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