首相居座り「民意無視」 九州・有権者の声

7月30日10時8分配信 西日本新聞

 安倍政権に対する初の本格審判となった29日の参院選で、有権者は事実上、不信任の判断を下した。にもかかわらず、安倍首相は続投を表明した。年金問題、政治とカネ、閣僚の相次ぐ不祥事から広がった政権与党への不信感。主役交代を求めた有権者の思いはやり場のない怒りになった。

 福岡市中央区天神で、仕事帰りのバスを待っていた同市南区の会社員柴田晃さん(63)は首相の続投表明を聞き、しばらく沈黙。「今回の結果は安倍内閣への完全な不信任。辞めないのであれば、何を民意と考えているのか分からない」と、あらためて首相の辞任を求めた。佐賀市の主婦中原玲子さん(51)も「数の力に任せ暴走する安倍政権に国民は歯止めをかけた。過去の首相と同じように潔く辞めてけじめをつけるべきだ」。

 福岡県大牟田市の自営業城戸利子さん(55)は「ここまで大敗すると内閣改造で乗り切られるか疑問。民意はもっと厳しい」と語り、有権者の怒りを読み違えていないかと指摘した。

 首相が直視しようとしない有権者の意思。福岡市南区の男性会社員(26)は「閣僚の不祥事が発覚しても任命責任を取らず、ごまかしてばかりの政権。まったく信頼できない」と安倍政権に愛想が尽きた様子。福岡県春日市の自営業島永興勇さん(63)は「だれが首相になっても同じ。とにかく今の政治家は質が悪すぎる」とあきらめた。

■与党にお仕置き 二大政党育てる 不祥事多すぎ

 西日本新聞は投票を終えた100人から1票に込めた思いを聞いた。その結果、3年前の参院選で自民候補に入れた人の3人に1人が自民以外の候補に投票したと回答。保守王国と呼ばれた九州での有権者の自民離れを印象づけた。

 3年前に選挙区で自民候補に投票した58人中、今回、20人が野党や無所属の候補を選んだという。その理由として、「年金問題」を挙げる声がやはり多かった。

 選挙区、比例ともに自民から民主に変えた福岡市中央区の主婦(46)は「年金問題は許せない。与党にお仕置きしたい」。大分県玖珠町の会社員女性(57)は「年金問題に加えて雇用や収入格差も広がり、与党には期待できない」と言い切った。


 年金問題とともに批判が強かったのが、相次ぐ閣僚の問題発言や政治とカネをめぐる問題。任命権者である安倍首相の指導力や政治手腕への疑問視につながった。

 熊本県菊陽町の自営業女性(55)は「事務所費の領収書問題のずさんさは商売をする者として許せない」と憤り、長崎県諫早市の主婦(53)も「閣僚の不祥事への怒り」を1票に込めた。

 「今の政治を変えてほしい」と訴える福岡県久留米市の主婦(33)は「小泉さんと違い、安倍さんは何も変えていない」と指弾。北九州市小倉南区の無職男性(59)は「自民は閣僚のカネに関する問題が多すぎる」と苦言を呈した。

 衆院で圧倒的多数を得た与党が、重要法案を次々に強行採決で可決した政治手法に対する不満も根強い。

 大分県日田市の自営業男性(47)は、衆院で圧倒的多数をもつ与党を念頭に置いて「二大政党を育てたい」と言い、福岡市東区の女性(67)は「参院が(衆院の)言いなりでは危ない」と指摘。大分県佐伯市の会社員男性(57)は「生活を大切にする政治が実現するか、政権を交代させてみたい」と語った。

 地方で票の掘り起こしに力を入れた民主の小沢一郎代表が、小型ジェット機をチャーターして遊説に訪れた鹿児島県奄美市で農業を営む男性(66)は「地域格差が深刻になる一方で、今の政治を変えなくてはいけないと思った」と、自民から民主に乗り換えた理由を説明した。

 今回、自民を選んだ人の中にも「野党には任せられないから」という消極的選択があった。

 宮崎県延岡市の主婦(49)は「任せたい政党や候補がほかにいないから自民に投票した。民主はまだ頼りない…」と悩ましげだった。
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by deracine69 | 2007-07-30 10:08 | 政治  

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