構造改革路線、修正圧力も 外交面でも波紋か 与党惨敗

2007年07月30日 朝日新聞

 参院での与党過半数割れで、小泉前政権から続いた構造改革路線の行方には影響が出そうだ。外交・安全保障面でも、日米関係を中心に波紋が広がるとみられる。

 今回の選挙では、地方に多い1人区で本来強かったはずの自民党の不振が際立った。公共事業などの大幅な歳出削減を続けた安倍政権に対し、「1人区の苦戦は地域経済に展望の見えない地方の異議申し立てだ」との見方が与党にも広がる。次の衆院選もにらみ、歳出削減や市場原理拡大などを軸とした構造改革路線を修正すべきだとの圧力が強まりそうだ。

 一方、国の借金残高は今年3月末時点で834兆円まで膨らみ、財政再建も待ったなしだ。政府はその年の税収でその年の政策費用を賄う基礎的財政収支の「11年度黒字化」を掲げてきた。この目標は国際公約になりつつあり、手を緩めれば日本国債への信認低下につながりかねない。

 当面の財源問題では、09年度に基礎年金の国庫負担分を現行の3分の1から2分の1に引き上げることが決まっており、新たに2.5兆円の財源確保が迫られる。今回、自民党が公約した少子化対策や医師不足対策の財源の手当ても必要だ。

 最も有力な方策は消費税率の引き上げだが、安倍首相は公示前のテレビ番組で「上げないとは言ってない」と発言したものの、後にトーンダウンさせた。「消費税率は当面上げない」と主張した民主党は議席を大きく伸ばしたため、与党内にも引き上げ反対の声が強まる可能性がある。

 外交・安保分野では、当面の焦点はテロ対策特措法の延長だ。01年の米同時多発テロを受け、海上自衛隊を多国籍軍への給油目的でインド洋へ派遣する内容で、今年11月1日で期限が切れる。

 政府・与党は延長する改正案を秋の臨時国会に提出する方針だが、野党が反対する可能性もあり、参院での審議が難航するのは必至。小泉・安倍政権が進めた「世界の中の日米同盟」路線を象徴するだけに、法改正が頓挫すれば日本の路線転換と受け止められかねないと危機感を募らせる。

 民主党はイラク復興支援で派遣されている空自の即時撤退も主張する。首相が前向きな集団的自衛権の行使をめぐる検討も、求心力低下で影響が出る可能性もある。

 首相は北朝鮮の拉致問題を重視し、核・ミサイル問題で経済制裁を科すなど強硬姿勢を取ってきたが、政権基盤が弱まったとみて北朝鮮が揺さぶりをかけてくる可能性もある。6者協議をうけた対北朝鮮エネルギー支援に日本が加わる条件としている拉致問題の「進展」についても、判断は一層難しくなった。

 来夏に北海道洞爺湖で開く主要国首脳会議(G8サミット)では、地球温暖化対策の新たな枠組みに向けて首脳間の合意を目指す。だが京都議定書から離脱した米国や削減義務を免除された中印との交渉が続くなか、指導力が求められる首相にとって、政局の混乱は足かせになりそうだ。
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by deracine69 | 2007-07-30 08:00 | 政治  

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