荒波の安倍号、どこへ…(上)「七難八苦…まだまだ改革」

2007.07.31 12:45 中央日報

29日、日本の参議院選挙で自民党が惨敗した。めったに意思表示をしない日本の有権者たちが“一票”で安倍政権に審判を下した。しかし安倍首相は総理職を固守すると明らかにし、有権者たちが突き出した“レッドカード”を自ら“イエローカード”に変えてしまった。崖っぷちに立たされた自民党執行部も仕方なくこれを容認する雰囲気だ。しかしいつまで持ちこたえられるかは未知数だ。今すぐ参議院第1党として浮上した民主党が黙っていない態勢だ。もちろんこれに食いかかる安倍首相の反撃もたやすいものではなさそうだ。荒波に包まれた日本の政局を深層診断する。

「我に七難八苦を与えたまえ」

安倍晋三首相が自民党の選挙惨敗が確実視されると首相官邸のある側近に打ち明けた言葉だという。この言葉を初めて使った人は戦国時代、山陰地方の武将、山中鹿之介。主君として大名、尼子家が没落するや「必ず家門の再建を成す」と誓い、言った言葉だ。そうだったら、安倍首相が家門の故郷先輩でもある山中の言葉をこの時点に引用したわけは何だろう。

安倍首相の言葉には「今度の惨敗で政治名門家の自尊心に傷がついた。決して、このまま退くことはできない。必ずその栄誉を再建する」という強い意志が集約されている。それは祖父岸信介元首相の長女であると同時に安倍首相の母親である洋子さんの意でもあった。そしてこれは29日夜、即刻「退陣拒否」発表となって現れた。

29日の参議院選挙で自民党の得た議席は37席。民主党は60席だ。この規模の惨敗は自民党52年歴史の中で1989年の宇野宗佑政権の36席に続き2番目だ。常識的なら頭を下げて直ちに退陣するのが筋だ。政権交代は衆議院選挙が牛耳るが、89年の宇野首相、98年の橋本龍太郎、44席)首相も参議院敗北で責任を負った。しかし安倍首相はそうしなかった。信じるものがあったからだ。

◆自民党内部事情予測して根まわし=安倍首相はすでに惨敗を予言し、手を回していた。“ポスト安倍”1順位に挙がった麻生太郎外相を29日、選挙当日昼、首相官邸に呼び、現状維持に成功した。15人の議員しかない群小派閥出身である麻生氏は今出ても勝算のないゲームだということを分かっていて考えを変えた。安倍首相の出身派トップである町村信孝元外相も安倍首相の頼みを受けて迅速に動いた。彼は29日、党内第2派閥である津島派(旧橋本派)のトップ津島議員に電話をかけ「挙党的に対応しよう」とし“自粛”を要請した。現在、閣僚が1人もいない津島派としては安倍首相に“借金”を抱えたようにして今後の内閣改編で配慮するという計算だった。他の派閥たちも同じだった。

日本の自民党は30日、主要党役員会議を開いて安倍政権を維持すると最終的に決めた。

このように安倍首相は現在、自民党に「安倍引き下ろし」に積極的に銃を担いで出るエネルギーも迫力もないことを見通していた。橋本元首相の退陣のときは小渕恵三という強い後継者がいたし、彼を押してくれた竹下登という“キングメーカー”もいた。しかし今はそんな人物もいない上、派閥の結束力も劣った状態だ。

選挙で惨敗しても党総裁と総理職を追い出されないこともあることは前任者である小泉純一郎氏が党内派閥をぶち壊したおかげだ。小泉氏は“構造改革”の名分の下、地方公共事業を縮小したために今回の敗北の一原因を提供した。

◆憲法改正に対する執着も作用=安倍首相が退陣を拒否したもう1つの理由は、憲法改正に対する執着からだ。首相は30日、記者会見でも「国民投票法案が通過された後、3年間は憲法改正案提出が不可能だからその間に確実に対応していく」と言った。憲法改正の道を確実に作った後で退けば、次期首相が入ってきてもその流れを受け継いでいくことができるというものだ。安倍のある側近は「今後の政権の求心力回復のためにも憲法改正作業を加速化していく」と言った。これから政局の争点が憲法改正になることを予言したものだ。

安倍首相が山陰地方の山中鹿之介の言葉を引用して“退陣不可”の意志を堅めたが、実は山中は中国地方の敵軍、毛利家によって殺害され、結局尼子家は再建に失敗した。安倍首相の執着がどんな結末をもたらすか注目される。

◆安倍首相辞任しなくていいのか=政権の運命を決めることは衆議院だ。衆議院が首相選出権があり、現在、自民党は衆議院単独過半数を確保している。参議院選挙で敗れても必ず総理職を下りなければならないわけではない。しかし、歴代首相らは参議院選挙に大敗した場合、円滑な国政運営ができないと判断、辞任する場合が多かった。



荒波の安倍号、どこへ…(下) 3つのシナリオ

29日の参議院選挙で惨敗した安倍晋三日本首相はひとまず‘退陣論’の火を消すことに成功した。しかし安倍首相の前途は一寸先も見えない闇だ。日本政界では安倍首相の将来について3つのシナリオを想定している。共通しているのは「いかなる形態であれ日本の政治に地殻変動が起きる」という点だ。

◆安倍退陣後、新首相で早期総選挙実施=安倍首相は9月中旬に内閣改造をする予定だった。

しかし安倍首相の‘退陣拒否’は世論の猛烈な非難を受けている。こうした雰囲気を考慮して安倍首相は計画を操り上げ、早ければ今月中旬、遅くともメルケル独首相の訪日行事が終わった直後の来月1日ごろ、内閣改造に踏み切る可能性が高まっている。

問題はこの時からだ。新しく任命された閣僚に対するメディアの‘魔女狩り’式検証が行われるのは明らかだ。

一方、安倍政権の人物検証能力は大きく落ちる。小泉純一郎前首相時は35年間にわたり彼を補佐した飯島勳秘書官が長い間構築した警察・情報・マスコミ界人脈を総動員し、徹底した事前検証を行った。それで閣僚スキャンダルは5年半の任期中1件もなかった。しかし安倍首相の周辺にはそれに相当する人物がいない。

また日本公務員社会がすでに安倍政権に背を向け、‘機密情報’をメディアに流す可能性も高い。この場合、内閣支持率は現在の30%台から10%台に落ちる可能性もある。こうなれば安倍首相が該当閣僚を更迭する線では収拾がつかない。結局、安倍首相が退いて新しい首相が‘救援’で登場し、衆議院解散、総選挙実施に向かうしかないということだ。

現在、政局を傍観している大多数の自民党議員が予想または‘期待’しているシナリオだ。自身の政治生命がかかる与党の衆院議員の間では、すでに「‘安倍看板’で総選挙を行えば百戦百敗」という共感が形成されている。直接安倍首相を引き下ろすことはできないが、‘外部の力’で自然に退陣する状況を待っているのだ。

◆政局反転後、来年初め総選挙実施=参議院で野党に主導権を奪われた安倍政権は、内閣改造で政治家だけでなく、財界・文化界などさまざまな分野の斬新な人物を迎え入れる公算が大きい。小泉前首相が好んだ‘サプライズ’手法だ。

その後、安倍首相は11月1日に期限を迎える「テロ対策特別措置法」をめぐり民主党と‘勝負’するとみられる。テロ対策特別措置法は、アフガニスタンなどで日本の海上自衛隊が対テロ活動をする根拠になる法案だ。

しかし参議院を掌握した民主党の小沢一郎代表は31日、「この法案を阻止する」と明言した。臨時国会が開かれる9月中旬に与党がこの法案を提出すれば、小沢代表は「60日以内に議決しなければ衆議院は参議院が法案を否決したものと見なす」という規定を逆利用、60日近く表決を先送りするのは明らかだ。

早期否決すれば与党が衆議院での再議決を通して法案を通過できるが、60日間かかる場合、法案は11月1日を越すことになる。この場合、海上自衛隊は直ちに撤収しなければならない。

国政全般が乱れて安倍政権も打撃を受けるが、「民主党はいつも反対する」という逆風をさらに強く受ける可能性もある。これを反転のきっかけにして安倍政権が総選挙に乗り出すというシナリオだ。

◆解散せず持ちこたえる=安倍首相の性格上、自ら衆議院を解散して政権交代選挙に動くことはないという分析も多い。与党が3分の2以上の議席を占めている状況で下手に総選挙に踏み切れば、政権を奪われるリスクが大きい。運よく過半数を確保し、政権を維持しても、現在では現議席数を維持するのは事実上不可能だ。

改憲発議条件の‘3分の2議席’が水の泡となる公算も大きい。改憲を至上課題としている安倍首相としては結局、衆議院任期が終わる09年9月まで持ちこたえようとするとの見方が強い。待ってみれば、いつか小沢代表が逆風にさらされるという楽観的期待がその土台にある。相手の失敗を待つということだ。それが現在の安倍首相の状況だ。

東京=キム・ヒョンギ特派員
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by deracine69 | 2007-07-31 12:45 | 政治  

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