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安倍流に試金石…集団的自衛権行使容認

8月4日23時31分配信 産経新聞

≪野党「反対」、公明も「慎重」≫

 安倍晋三首相が3日、派閥推薦人事を否定したことで、内閣改造とその後の政権運営が問われることになる。その試金石の一つが、集団的自衛権の行使容認をめぐる検討作業だ。首相が執念を燃やす「戦後レジーム(体制)からの脱却」の柱となる政策課題だが、公明党は慎重な姿勢で、野党の抵抗も大きい。ここで妥協すれば、「何のための続投だったのか」と首相支持層に失望を与えかねず、議論の行方が注目される。

 政府は今年5月、集団的自衛権と憲法の関係を整理する有識者懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置。すでに3回の会合を開いたが、集団的自衛権の行使を認めない現行の憲法解釈に批判的な意見が大勢だ。

 このため、懇談会が今秋にまとめる予定の最終報告を受け、首相が行使容認に踏み切るかどうかが焦点となっている。

 塩崎恭久官房長官は3日の記者会見で「参院選の結果が、日本を守ることに大きな影響を与えるわけではない」と強調。首相側近も「首相は本当に強い人だ。ぶれるということはない」と指摘し、従来の方針通り、集団的自衛権の行使容認に踏み切るとの見通しを示している。

 しかし、公明党の反発は必至だ。太田昭宏代表は参院選後、首相に「憲法論議は大事だが、生活関連のことをについて明確に姿勢を示すことが大事だ」と、議論の棚上げを迫る構えも見せている。党内には「せめて懇談会の最終報告を先送りするぐらいのことはすべきだ」(幹部)との声も漏れ始めている。

 首相が集団的自衛権の行使容認という結論を急げば、自公連立にひびが入るのは必至だ。自民党内にも山崎拓元副総裁や谷垣禎一前財務相ら、集団的自衛権をめぐる政府解釈の変更に反対する勢力も少なくなく、政権基盤が弱まっている首相に対し、さらに攻勢を強めることも考えられる。

 共産、社民両党は、もともと行使容認に反対しているほか、民主党の小沢一郎代表は「何となく米国と協力するたぐいのことだ」と有識者懇設置を批判しており、首相は幾重にも反対・慎重論に包囲されている形だ。

 一方、若手議員時代から一貫して行使容認を主張してきた首相がこうした現状にひるみ、集団的自衛権の行使に関する判断を先送りすれば、首相の姿勢を支持してきた党内外の保守層から「続投した意味がない」との批判を招くとみられる。

 首相は昨年9月の党総裁選直前、周囲に「任期中の憲法改正は実際は難しいかもしれないが、集団的自衛権の問題だけは何としてでもやり遂げたい」と漏らしていた。

 初心に立ち返り、真正面から問題に取り組むのか、厳しい政治情勢を見極めながら慎重に議論を進めるのか、岐路に立たされている。

by deracine69 | 2007-08-04 23:31 | 政治  

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