政界再編に向け存在感…二階氏の「次」は

8月5日0時0分配信 産経新聞

 参院選の与党大敗を受けて、政界再編が現実味を帯びてくる中、自民党の二階俊博国対委員長の存在感が増している。平成5年の自民党分裂後、数々の政党を渡り歩いただけに「政界の寝業師」といわれ、野党にも太いパイプを持つ。民主党の小沢一郎代表の「手法」も知り尽くしているだけに、その動向に注目が集まっている。

≪人心掌握術≫

 2日夜、二階氏は、自民党の衆参国対副委員長12人を静岡県小山町のホテルに集め、通常国会の慰労会を開いた。

 「『勉強させる国対』は本当にためになった」「国対委員長の勘所はやはりバツグンだ」「国対の『チーム二階』はかつてない結束力だった」。宴席とはいえ、国対副委員長からは礼賛の声が続いた。

 二階氏は終始うれしそうな表情を見せ、「参院選に負けたからといって安倍晋三首相を批判するのはおかしい。みんな総裁選で支持したんだから最後まで支えるのが筋じゃないか」と首相の続投を支持する立場を強調。自民党内に沈滞ムードが漂う中での慰労会は、二階氏の存在感を印象付ける重要なセレモニーとなった。

 わずか15人の小派閥が注目を集めるのは、二階氏が地味ながらも、「人を引きつける人心掌握術を持つ」(党国対関係者)からだ。若手・中堅議員や官僚、自民党職員にも「隠れファン」は多いといわれる。

 平成5年の政治改革をめぐる自民党分裂では、小沢氏とともに自民党を飛び出し新生党を結成。その後、新進党、自由党と渡り歩き、12年に小沢氏と決別すると、保守党を結成。その後も、民主党の反小沢勢力などを切り崩して保守新党に衣替えして15年に自民党と合流するなど、独特の身のこなしをみせてきた。

≪太いパイプ≫

 このような遍歴から、野党にも太いパイプを持ち、国対委員長として水面下の折衝を一手に引き受けてきた。自由党国対委員長だった際、自民党国対委員長だった古賀誠元幹事長と関係を築き、保守党幹事長時代は山崎拓元副総裁、冬柴鉄三国交相とトリオを組んだ。初当選同期の伊吹文明文科相、額賀福志郎元防衛庁長官、大島理森元農水相とは定期会合を続けている。これが自民党をまとめる「接着剤」といわれるゆえんだ。


 また、二階氏は全国旅行業協会会長で「旅行・観光業界のドン」ともいわれ、エネルギー業界や関西財界にも強い影響力を持つ。中国当局とのパイプも太く、昨年9月に中国湖南省の「貿易投資博覧会」に企業関係者約1000人を連れていき、政財界を驚かせた。

≪15人の小所帯≫

 しかし、弱点もある。手塩にかけて育てた派閥「新しい波」は15人にすぎない。6月の派閥パーティーでは、「4年前に自民党に戻り、一生懸命頑張ってきた。ようやく『私は認知されたな』と感じている」と喜んだが、このうちの6人は一昨年の郵政解散で初当選した小泉チルドレン。さらに、70歳以上の高齢議員も4人おり、「次の衆院選では消滅の危機にひんする」(中堅)との見方もある。

 一方で、盟友の武部勤前幹事長が設立した若手衆院議員の会「新しい風」は二階派と「兄弟関係」(周辺)で、「一声で数十人が集まる」(自民中堅)とも言われている。

 こうした中、次の内閣改造・党役員人事で、首相が二階氏をどう処遇するのか。

 国対委員長に留任させたり、幹事長に起用すれば、小沢民主党に対する撹乱(かくらん)戦術を狙ったと読めるし、経済閣僚に起用すれば財界対策を重視したとみることもできる。

 ただ、「全方位型・経済重視」の二階氏を重用すれば、教育再生や憲法改正など「戦後レジームからの脱却」をうたった安倍路線は後退したとの印象で受け止められかねない。また、二階氏は首相の盟友とされる麻生太郎外相や中川昭一政調会長との関係には微妙な距離感があり、自民党内で新たなしこりが生じる可能性もある。
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by deracine69 | 2007-08-05 00:00 | 政治  

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