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参院選、テレビのチカラ改めて誇示

8月6日11時0分配信 産経新聞

■総務省通達に各局反発/タレント続々当選

 自民が歴史的大敗を喫し、民主が躍進した第21回参院選。放送各局は、いつものように特番を組んで当落の速報を競った。総務省は今回、報道が過熱しているとして各局の責任者を呼び出し、「当落判定は慎重に」とクギを刺したが、各局は独自の報道を展開した。一方、苦戦が予想されたタレント候補が相次いで当選するなど、今回の参院選ではテレビの影響力の強さが改めて示された。選挙報道をめぐる議論は今後も波紋を広げそう。番組プロデューサーらに聞いた。(戸津井康之)

 ≪速報に異議≫

 総務省が当落速報について通達を出すのは今回が初めてではないが、これまでは文書だった。

 「担当者を呼び付けての通達は初めて。さらに選挙翌日、当落の誤報などを総務省に出向いて状況説明しろというのは異例。国家権力の圧力で報道の自由が妨げられる恐れがある」。民放連の広瀬道貞会長(テレビ朝日会長)は語気を強め、通達に抗議した。

 だが、この通達は現場には影響しなかったようだ。各局は午後8時の投票締め切りと同時に、独自に集計した予測議席数を相次いで画面に表示。開票率0%の段階で当落を打ち始めた。

 TBSの選挙特番「乱!参議院選挙2007」の桶田敦プロデューサーは「誤当確を打たないようにするのは、総務省に言われるまでもなく選挙番組の生命線。当確が打てると判断できたところは大胆に打った。総務省の通達は番組作りには影響していない」と話す。同番組冒頭で放送した議席予想について「自民34(確定議席37)、民主60(同60)で正確度は高かった」と振り返った。

 テレビ東京の参院選スペシャル「ザ・決断!国民の審判」の福田裕昭プロデューサーも「総務省通達の影響はまったく受けていない。生中継やCGなど、さまざまな放送技術が、選挙速報の現場で培われてきた。各局とも速報を止めるわけにはいかないでしょう」と話す。

 ≪露出の優位性≫

 「メディア戦に負けた」
 自民関係者がそう言って悔しがるのが岡山選挙区の選挙戦。民主新人の姫井由美子氏が自民前職の片山虎之助氏を破ったが、姫井陣営の「姫の虎退治」というキャッチフレーズは選挙期間中、メディアをにぎわし続けた。

 公示前のタレント候補者の取り扱いも物議をかもした。日本テレビ系の人気番組「行列のできる法律相談所」の出演者だった弁護士の丸山和也氏(自民党比例代表で当選)は、出馬会見の前日に放送された同番組に黒塗りのシルエット姿で登場。テレビ局側の自主規制の結果だったが、丸山氏と自民党にとっては名を売るチャンスに。

 また、撮影済みだった地上デジタル放送のテレビCMが放映中止になった元アナウンサー、丸川珠代氏も当選。放送メディアで露出する優位性を改めて証明した。テレビ朝日の君和田正夫社長は、出馬会見の3日前に退社の意思を伝えてきた丸川氏に苦言を呈したという。「報道と政治との距離感をもっと考えてほしかった」と。

 ゴルフ中継番組が多いテレビ東京では、民主党比例代表で当選した横峯良郎氏の扱いについて、こんな議論が繰り返されていたという。「選挙期間中に横峯氏が娘のさくら選手のキャディーとして試合中継に映るのは許されるだろうか…」

 政治部長でもある福田プロデューサーは、こう話す。

 「候補者となる可能性のあるタレントの起用は見合わせている。ただ、ぎりぎりのタイミングで出馬を表明する候補も増えて、難しくなっているのは事実。テレビで知名度を高めようという政党側の意図的なたくらみも感じる。テレビ側には電波を絶対に利用させないという信念が求められている」

by deracine69 | 2007-08-06 11:00 | 政治  

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