本県被爆者反応冷ややか 原爆症認定基準見直し検討

8月6日 長崎新聞

 六日の広島原爆の日を前に、安倍晋三首相は五日、広島市入りし、市内のホテルで被爆者七団体の代表と面会。国の敗訴が続いている原爆症認定の問題について「認定基準を専門家の判断の下、見直すことを検討させたい」と表明した。

 「責任逃れの発言」「もはや遅きに失した」-。表明を受け、本県の被爆者からは冷ややかな見方が流れた。

 広島の被爆者との面会で安倍首相は、「専門家の判断の下」との条件付きで見直しに言及。長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の山田拓民事務局長は、「どういう専門家に判断させるのかが分からず、責任逃れの発言だ」と、逆に憤った。

 山田事務局長は、本県の原爆症認定訴訟に長くかかわってきた。全国の地裁レベルでは現在、国側が六連敗中。本県では先月末、第一陣が約四年越しに結審したばかり。山田事務局長は「既に司法判断は固まっている。国の最高責任者として、どうして『見直す』と言明できないのか」と注文を付けた。

 原爆症をめぐる現行の認定基準は、算定方式「DS86」ではじき出された被ばく放射線量の推定値を基に、性別や年齢を加味した「原因確率」で発症が放射線に由来するかを判断する方式。

 被爆者団体は、裁判闘争に加え、この基準の見直しを国などに働き掛けてきた。本県の訴訟団メンバーに入る県平和運動センター単産被爆者協議会連絡会議(被爆連)の川野浩一議長は「被爆者が身を削りながら集団訴訟をし、しかも国が連敗しないと、手を差し伸べないのか」と指弾。「全国的には原告の二-三割が地裁判決前に亡くなっており、残された時間は少ない」と訴えた。

 さらに、認定を求めて最高裁まで闘い、被爆者勝訴の先鞭(せんべん)を付けた長崎市の松谷英子さん(65)は「これまで国は裁判を長引かせようとしてきた。被爆者をどこまで苦しめるのか、歯がゆい。一日も早い全面解決を願う」とした。

 本県の被爆者団体は、九日の長崎原爆の日に安倍首相と面会予定。山田事務局長は「首相の解決姿勢があいまいなままでは会ってもしょうがない気がする」として、基準見直しに言及した姿勢そのものを問いたい考え。
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by deracine69 | 2007-08-06 23:59 | 政治  

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