『世襲』の弊害が噴出した

2007年8月12日 東京新聞

 世襲議員の弊害が一挙に露呈した-参院選での自民大敗や後始末を見てそう思う。

 自民党で国会議員の二、三世が三割前後を占め、政権中枢を担ってかなりたつが、その弊害が安倍政権混迷の根底にありそうだ。悪役を演じた「ばんそうこう大臣」の赤城徳彦前農相は偉大な祖父の地盤を受け継ぐ。これをかばって危機管理や人事のまずさを見せた安倍晋三首相は三世、取り巻きにも世襲が多い。

 大敗の象徴は農村や地方都市である。長い間自民党の基盤だったが、いまや「小泉改革」が決定的にした地方格差に苦しんでいる。しかし地方選出の世襲議員の多くは、親の仕事場である東京生まれの東京育ちだ。地方の生活感が薄い中で、住民の悲鳴は耳に届かなかった。

 世襲議員は、本人の資質にかかわらず、議席確保のため担ぎ出される。地盤、看板、カバンが保証されているからだ。カネの問題で細かいことまで説明する必要はない。多少の非難があっても、選挙で落ちることはない。そして数合わせで出てきた議員にとっては数の論理が最優先。かくして選挙直前の国会では強行採決が乱発された。

 民意や議会制民主主義の軽視、こうした世襲議員が陥りがちな弊害が有権者の拒否反応を招いた。こんな調子で憲法を変えられたらたまらないという民意も含めて。それでも続投という安倍政権に、これも世襲議員にありがちな独りよがりとみて、内閣支持率は下がり続けている。

 もっとも大勝した民主党の小沢一郎代表も二世だ。野党での苦労が民意への敏感さを養ったか。与野党逆転の参院を中心とした国会運営が次の試金石になる。(小林一博)
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by deracine69 | 2007-08-12 08:00 | 政治  

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