大弦小弦

2007年8月19日 沖縄タイムス

 自民党が大勝した二〇〇五年の衆院選で首相補佐官(広報担当)の世耕弘成参院議員らが仕掛けた「コミュニケーション戦略(コミ戦)」を取り上げた『政党が操る選挙報道』(鈴木哲夫著、集英社新書)が興味深い。
 小泉首相(当時)が打って出た「郵政解散」による同衆院選。「造反」「刺客」「マドンナ対決」などをキーワードに、連日ワイドショーなどで取り上げられた。

 「コミ戦」メンバーは元NTT広報マンの世耕議員のほか党職員やPRコンサルタント会社などで構成。テレビを徹底的に分析し俊敏に対応した。年配の支持者から「(片山さつきの)髪形が気になる。古臭い」の電話を受けると、早速、会議で検討。

 また地元密着をアピールし、「片山は落下傘候補」と訴える相手候補に対抗。取材には「本籍も移しました。静岡七区に骨を埋めます」と言わせた。当然、髪形も変えさせた。

 もちろんこれはコミ戦の指示で片山候補の本心ではない。何をどうすればテレビが取り上げてくれるかに心血を注ぎ、視聴率に一喜一憂するテレビ側の心理をつき「小泉劇場一色」の状態を作ったのである。

 著者は「政治家の言葉を常に疑う、常に立ち止まる」と記者マインドの重要性を説く。台詞も演出も、見破る眼力をもたねばならない、と。ツールこそ違え、新聞も世論形成の一翼を担う。権力側にうまく乗せられ、コミ戦に利用されぬようあらためて自戒したい。(崎浜秀也)
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by deracine69 | 2007-08-19 08:00 | 政治  

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