「中国はずし」危機感と焦燥 安倍首相演説に猛反発

2007/08/25 08:21 産経新聞

 【北京=矢板明夫】安倍晋三首相がインド訪問中に国会で行った演説が中国で波紋を広げている。日本、米国、インド、オーストラリアの連携強化を呼びかけ、拡大アジアを強調した首相の言葉を、中国のメディアは「中国を孤立させるメッセージだ」と決めつけ、「時代遅れ」「支持を得られない」などと猛反発している。背景には、27日に発足する安倍改造内閣が対中強硬路線に戻るのではないかとの危機感が見え隠れする。

 中国共産党の機関紙・人民日報傘下の環球時報は2日連続して紙面を大きく割いて安倍首相の今回の“対インド価値観外交”を批判した。23日は1面トップで「4国連盟で中国に対抗か」との見出しを掲げ、安倍首相の講演内容を伝えた。民主主義の価値観を共有する4国の連携強化を目指す部分については「日本は社会制度の違いを口実に中国を牽制(けんせい)する緩やかな4国連盟を目指そうとしている。中国の発展を抑止することが狙いだ」と分析した。

 翌日の記事は「中国を孤立させることは容易ではない」と題された。日印の安保協力強化をめぐり、「軍事同盟は冷戦時代の古い発想」「インドは日本と経済分野での協力に興味はあるが、ほかに興味がない」などと、インドの外務省高官の言葉を引用し、インドは安保分野で日本との協力に積極的ではないことを紹介した。そのうえで「参院選挙で大敗した安倍氏が、外交分野の実績をつくり士気を高めようとしたが、失敗に終わったようだ」と指摘した。

 環球時報のほか、英字紙チャイナ・デーリーは「中国不在のパートナーシップ推進」、国営新華社通信傘下の全国紙「参考消息」は「安倍氏は中国を排除して、大アジアを構築しようとしている」との見出しで、いずれも安倍首相の「中国はずし」を批判する記事を大きく掲載した。

 中国メディアはこれまで、悪化していた日中関係を回復させた功労者として安倍首相に好意的な報道が目立っていた。安倍首相の慰安婦問題に関する発言が韓国などで批判されたときも、中国は論評を控えてきた。今回のように、名指しで批判キャンペーンを展開した背景には、安倍首相がインド訪問などを通じて、これまでの対中融和路線を改め、外交で保守に戻ることに対し、これを警戒、牽制する思惑がうかがえる。

 また、安倍首相が提唱する4国提携強化についても中国も切実な危機感を抱いているようだ。中国現代国際関係研究院のインド問題専門家、傳小強氏は中国メディアの取材に対し「4国連盟について、積極的な日米に対し、インドと豪州はあまり熱心ではない。中国の戦略としては、インドと豪州との関係を深めることで、同盟の結成を避けたい」と語った。
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by deracine69 | 2007-08-25 08:21 | 政治  

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