続投戦略、早くも破たん 「負の連鎖」断ち切れず

2007/9/3 中国新聞

 閣僚不祥事の「負の連鎖」はやはり断ち切れなかった。遠藤武彦農相が組合長理事を務める農業共済組合の不正受給問題をめぐり、農相を引責辞任する意向を固め、安倍改造内閣は発足わずか一週間で深刻な打撃を受けることになった。

 参院選で惨敗した安倍晋三首相は派閥領袖クラスを要職に据えた内閣改造で自民党内の続投批判を封じ込め、十日からの臨時国会に向けて態勢を立て直す戦略だった。しかし“鬼門”となった農相ポストの不祥事に足を取られ、続投戦略は事実上、破たんした格好だ。

 低迷を続けた内閣支持率は内閣改造の「ご祝儀相場」(野党幹部)で復調の兆しを見せたが、再び失速する可能性は否めない。民主党の小沢一郎代表は野党が過半数を握った参院を主戦場に、早期の衆院解散に追い込みたい構えで、政権が低空飛行を続ければ自民党内で退陣論が再燃するのは必至といえる。

 政府、与党が遠藤氏、坂本由紀子外務政務官の事実上の更迭に踏み切った背景には、参院選での問責決議案可決を見越して「いずれ辞めるなら早い方がいい」との判断があったとみられ、参院での与野党逆転状況の反映でもある。

 与謝野馨官房長官は二日昼の自民党の麻生太郎幹事長との会談で早期収拾方針を確認し、夜に遠藤、坂本両氏と相次ぎ会って引導を渡した。自民党は参院選総括で「不祥事の続発に対する後手後手の対応により、国民から指導力、統治能力に疑問を呈された」と指摘しており、遠藤氏らへの迅速対応で危機管理能力を示し「これまでとの違い」をアピールしようとしたのは間違いない。

 首相は内閣改造直後の記者会見で「(閣僚は)十分な説明ができなければ、去っていく覚悟でやってもらう」と言明していたが、今回の更迭劇は「与謝野―麻生ライン」主導で進み、首相の求心力低下もうかがわせた。

 内閣改造に際しては入念な“身体検査”を実施したはずだが、与謝野氏は一日、記者団に遠藤氏の問題に関して「それぞれの議員がやっている社団、財団、組合などの役職まで目が行き届かなかった」と釈明した。

 しかし改造後には遠藤、坂本両氏だけでなく、岩城光英官房副長官、荻原健司経済産業政務官らも政治資金に絡む問題が表面化しており、首相の任命責任があらためて問われることになる。

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by deracine69 | 2007-09-03 00:00 | 政治  

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