内戦続く スリランカ 対立超えともに学ぶ 義肢装具士目指すシンハラ人とタミル人

2007年9月5日 東京新聞

 民族紛争が続くスリランカに設立された義肢装具士養成学校で、対立する多数派シンハラ人と少数派タミル人が一緒に義足や義肢づくりの技術を学んでいる。民族の枠を超えた学校は、出口の見えない紛争の中、何とか相互理解につなげたいという試みでもある。 (コロンボ近郊ラガマで、平田浩二、写真も)

 同国では二十年に及ぶ政府軍と反政府武装組織「タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)」との内戦で大勢の戦闘員が手足をなくした。同国国防省は傷ついた国軍兵士の自立のため、同様に内戦状態が続いたカンボジアの装具士学校に国軍兵士を派遣、義肢製作の技術を学ばせた。

 しかし、戦闘や地雷の犠牲になるのは兵士だけではない。

 大勢の一般市民が巻き添えになっており、二〇〇五年五月、スリランカ保健省が日本財団や英国の非政府組織(NGO)「カンボジアトラスト」の協力を得てコロンボ近郊ラガマに装具士養成学校を開設した。

 「民族を問わない開かれた学校に」。日本財団のこの提案を政府は了承。現在、三十七人が学んでいるが、このうち九人が激しい戦闘が繰り広げられてきた北東部や東部出身のタミル人だ。

 二年間で解剖学や神経学などの知識や製作技術を身につけ、最後の一年間は病院で臨床実習を行い国際義肢装具協会(ISPO)認定の資格取得を目指す。生徒増加により今年一月、日本財団の資金援助で校舎を新築した。

 世界保健機関(WHO)によると、国内では十五万人が義肢・義足を必要としている。戦闘だけでなく〇四年十二月のスマトラ沖地震津波での被災や頻発する鉄道事故などもその原因だ。

 義肢づくりの技術を身につければ、国内での就職が保証されるうえ、国際資格取得者は海外でも需要があるため、毎年、定員十五人に対し志願者は百人を超す。

 同国ではシンハラ、タミル民族双方が独自言語でナショナリズムをかき立て対決姿勢をあおっていることが紛争の長期化につながっており、授業はすべて英語。生徒は全員が寄宿舎生活を送る。

 三年生のルバン・ネーミナタンさん(25)は北東部トリンコマリー県出身のタミル人。東部のバティカロア大学でバイオ技術を勉強していたが、戦闘激化で中退、養成学校に移った。「故郷には僕の帰りを待っている傷ついた仲間が大勢いる。しかし、初めてシンハラ人とふれ合い、民族に関係なくこの国の人たちの役に立ちたいと思った」と話した。
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シンハラ人とともに義肢製作技術を学ぶタミル人のルバンさん(右)=コロンボ近郊ラガマで

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by deracine69 | 2007-09-05 08:00 | アジア・大洋州  

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