<安倍首相辞意>衝撃の一報…列島中に驚きの声広がる

9月12日13時20分配信 毎日新聞

 「本日総理の職を辞するべきと決意致しました」。海上自衛隊の給油活動継続を「職を賭して」と表明してから、わずか3日。安倍晋三首相は12日、緊急会見で辞意を表明した。「本会議の時間が決まらない」と朝から国会内がざわつく中で、突然飛び込んできた衝撃の一報。参院選の惨敗、相次ぐ閣僚らの辞任……。内閣支持率が低迷し続け、退陣を求める声も強まる中、何が引き金となったのか。唐突な「決断」に、列島中に驚きの声が広がった。

 国会では本会議で代表質問が行われる場合、開会時間など日程は早めに決まる。だが、この日は違った。衆院議員の間では、開会の時間がなかなか決まらないことをいぶかる声が高まっていた。

 「おい、まだ(開会の)予鈴は鳴らないかな」

 12日正午過ぎ、スーツを着込み、議員会館の自室で本会議出席に備えていたある議員は秘書に呼びかけた。

 「1時の開会は無理だと議運は言ってるそうです」

 「何だろうな」

 議員が首をかしげた瞬間、テレビのテロップに「安倍首相、辞意を伝える」の速報が流れた。議員は食い入るように画面を見つめ、早速情報収集のため、あちこちに電話をかけ始めた。

 ◇東京・霞ケ関にも衝撃

 東京・霞ケ関でも衝撃が走った。厚生労働省幹部は午後1時前にテレビに流れた「安倍首相辞意」のテロップに「えっ」と絶句した。その後「内閣総辞職となれば、また、大臣が変わるのか。やっと、年金などの課題がスムーズに動きだしているところなのに……。とにかく情報が本当かどうか知りたい」と話した。

 国交省幹部も「内閣改造したばかりなのに、また変わるのか」とつぶやいた。幹部らは「なぜ辞任するのか」などと慌しく情報収集に走った。

 農水省幹部はテレビの速報で知り、「えっ本当にそうなのか。所信表明をしたばかりなのに。農水の一連の不祥事が直接の原因とは思わないが、異例のことだ」と半信半疑の表情を見せた。

 テロ特措法の国会論戦を控える防衛省・自衛隊では、14日から全国各地でインド洋の自衛隊の補給活動をアピールする一般向けセミナーも予定されており、唐突な辞意表明に驚きと困惑の声が漏れた。

 同省では、ある自衛隊幹部は「安倍さんほど自衛隊の現場を訪ね、士気を気遣ってくれた総理はいなかった。本当だとしたら誠に残念だ」とやるせない表情。別の同省幹部は「小池(前防衛相)さんが内閣に留まらないと言い出した時も驚いたが、まさか安倍さんまでとは。もう政治家は信じられなくなりそうだ」と情報収集に追われていた。

 自民党東京都連の幹部は、テレビのニュース速報で安倍首相辞任の一報を聞き、「びっくりしている。大変残念だ。新しい歴史を作れなかったのは残念だ。応援した以上は頑張ってほしいという期待しかなかった」と話した。東京都千代田区の衆院第1議員会館にある安倍首相の事務所では、首相が与党幹部に辞意を漏らしたというテレビのニュース速報について「分かりません。情報源に確認して下さい」と短く答えるにとどまった。

 「辞める人に代表質問ができる訳がない。どうするのか」。衆院本会議の代表質問を控え、衆議院内の民主党国対役員室で同僚議員と打ち合わせをしていた山井和則衆院議員は「前代未聞だ」と驚きの声を上げた。ニュースが流れた瞬間、部屋は議員のどよめきの声に包まれたという。「(直後に控えた)鳩山さん(由起夫・同党幹事長)らの質問に答えられないと思ったのか。こんなことは国会史上ない」と戸惑いを隠せなかった。

 ◇居座りは無理

 ▽政治評論家・森田実氏の話 来るべきものが来ただけで当然と受け止めている。参院選で国民から事実上の不信任を突きつけられ、国民が信任しない政権が「衆院じゃないから」という理屈で居座るのはもともと無理だった。どんな独裁政権でも国民の信任が得られないと長持ちしない。衆院解散のエネルギーは首相自身にも政権にも残っていないことが、首相の最近の表情から読み取れた。臨時国会前から既に安倍首相には辞めるという選択肢しか残っておらず、後は時期の問題だと考えていたので全く驚きはない。

 ◇遅すぎるぐらい

 ▽評論家、室伏哲郎さんの話 辞任は当然だ。むしろ遅すぎるくらいだ。7月の参院選で、安倍晋三首相は「私と民主党の小沢一郎代表のどちらを首相に選ぶのか」と国民に迫った。国民は選挙結果を通じてその意思を示したのに、首相は前言を翻し、何もなかったかのように居座り続けた。安倍政権は実質的に何もしていない。零点だ。後継に選んだ小泉純一郎前首相の責任も大きい。

 ◇逆風が多すぎた

 ▽漫画家、弘兼憲史さんの話 国会の期間中で本当にびっくりした。自民党が崩壊する、あるいは次の選挙で勝てないと自ら考えたのか、自民党の長老から説得されたのか。いずれにしろ断腸の思いで決断したのだろう。この1年間で、防衛庁を省へ昇格させたり、憲法改正への道筋をつけたことは評価したい。ただ、消えた年金の問題や政治とカネなど、あまりにも自分と関係のないところで逆風が吹いた。ご苦労様と言いたい。

 ◇根拠なかった続投

 ▽評論家の樋口恵子さんの話 辞意表明は遅きに失した。安倍さんは参院選で自民党が大敗しても、「基本的な政策は支持されている」と言っていたが、何の根拠もなかった。よくぞここまで居座ったという感じだ。安倍さんは、国民が何を望んでいるのかが理解できなかったのが致命的だ。国民が腹をすかせているのに、それを理解せず、国を愛すことを強いた。次の首相には聞き上手な人がなるべきだ。

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by deracine69 | 2007-09-12 13:20 | 政治  

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