早期解散へ民主加速 小沢氏「衆院過半数取る」

2007年09月12日22時50分 朝日新聞

 テロ対策特別措置法の延長に反対の原則を譲らない小沢民主党の強硬姿勢を前に、安倍首相があっさりひざをついた。勢いづく民主党は「一刻も早く政権交代を」と迫り、自公の新政権に対しても一気に解散・総選挙に追い込む構えだ。一方、焦点だったテロ特措法に代わる新法案提出も振り出しに戻りそうな情勢で、首相が「対外公約」とした給油継続は不透明さを増すばかりだ。「逆転国会」の与野党攻防は、冒頭から先の見えない混沌(こんとん)とした局面に突入した。

 「いつ解散があるかわからない。万全の態勢を取っておくのが政党としての当然の心構えだ」

 小沢代表は12日、安倍首相の退陣表明後に臨んだ記者会見で、衆院解散・総選挙に向けて攻勢を強める考えを示した。「総選挙で過半数を取らなくちゃいけない。総選挙の実施を、できるだけ早い機会にということは、全く変わってない」

 同党の中堅・若手議員らはさっそく、街頭演説に繰り出した。同日の衆院本会議で代表質問する予定だった長妻昭・政調会長代理は東京・有楽町の街頭で質問原稿を手に訴えた。「総理から答弁を勝ち取り、国を動かすための原稿だった。肩すかしだ。なぜ今、辞めたのか。こんなおかしな政府は一刻も早く交代すべきだ」

 民主党は今国会でテロ対策特別措置法、年金、「政治とカネ」などで安倍政権に攻勢をかけ、衆院解散に追い込む戦略を描いてきた。実際に衆院選立候補予定者の擁立作業を加速させている。「逆転国会」の本格論戦を待たずに安倍政権が倒れたことで、「早期決戦」のムードは確実に高まってきた。

 攻撃の照準を、臨時国会冒頭で突然の「政治空白」を生じさせた自民、公明両党の「政権担当能力」に絞りつつある。

 「1番打者としてバッターボックスに入ろうと思った瞬間に、投手(党首)がいなくなった」

 やはり代表質問に立つ予定で肩すかしを食らった鳩山由紀夫幹事長は、緊急代議士会で首相の突然の辞意をこう皮肉った後、批判した。「(首相の辞任表明)記者会見で国民に対する謝罪がなかった。国政がこのようなことでまた停滞、混乱するのに大変けしからん話。残念だ」

 小沢氏も会見で、安倍首相が両党国対委員長間で申し入れた党首会談を「断られた」としたことに異を唱えた。「昼前に(国対委員長間で)申し入れがあった。『党首会談はいつでも結構。ただし、一体どういうお考えで党首会談したいのか、官邸と話してきちんとした申し入れをしてもらいたい』と話したら、『いや、ごあいさつだ』ということだったそうだ。この申し入れ以前に一度も党首会談の申し入れは受けていない。イエスもノーも言う機会はなかったのが事実だ」

 ただ、小沢氏は党幹部に対しては「粛々と、淡々とやろう。政局に巻き込まれないで、政策でいこう」と指示し、平静を保つよう呼びかけた。12日夜に都内であった参院初当選議員との懇親会でも「国民の期待に応えられるように政策を勉強してがんばってほしい」と強調した。参院選でマニフェストに掲げた政策を進める姿勢をむしろ強調することで、党内政局の渦に飛び込んだ自民党との違いを浮き立たせたい考えがにじむ。

 小沢氏は別の党幹部に「今日はおれ一人でやる。議員がテレビに出るときは注意してくれ」とも語り、政局に関する発言は慎重を期すよう促したという。

 もともと、小沢氏はテロ特措法について「そのうち政府側が焦って、ぼろが見えてくる」と周囲に語り、原則論しか語らない戦術をとってきた。狙い通り政権の自壊を誘った形だが、党内には「総辞職になることで、解散はむしろ遠のいた」(幹部)との見方もあり、本格攻勢の次のタイミングは慎重に見極める方針だ。幹部の一人は、こう語った。

 「あっちがずっこけているんだから、冷静沈着に推移を見守ればいいんだよ」
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by deracine69 | 2007-09-12 22:50 | 政治  

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