【衝撃 安倍首相退陣】その夜、赤坂では…

9月13日9時14分配信 産経新聞

 12日午後0時10分、首相官邸の正面玄関に横付けされた車から降りたのは自民党の大島理森国対委員長、小坂憲次国対筆頭副委員長。これに先立ち、安倍晋三首相は大島氏を通じて民主党の小沢一郎代表との党首会談を申し入れていた。だが、民主党の返事は「ノー」。これを電話で首相に伝えた大島氏に対して、首相が「すぐ来てくれ」と呼んだのだ。

 首相は執務室で、2人を硬い表情で迎えた。

 「海上自衛隊の補給活動を中断することは避けたい。大きな決断をしないといけない」

 こう話す首相の表情をみて、大島氏は、これは首相の「辞意」だと気づき、うろたえた。

 「総理!これからの段取りもあります」と、突然の辞意表明を思いとどまらせようとする大島氏。しかし、首相は半分腰を浮かせながら口調を強めた。「私の決意は固いんだ」。大島氏には返す言葉がなかった。

 閣僚の相次ぐ不祥事や失言、そして7月の参院選での大敗。政権運営に苦しみ続けた首相が最後に執着したのは海上自衛隊のインド洋での補給活動の継続だった。しかし、民主党は反対姿勢を譲らない。膠着(こうちゃく)状態を打開するために、首相が最後にかけたのは小沢氏との党首会談だったが、その望みも絶たれた。

 0時半過ぎ、自民党の麻生太郎幹事長の携帯電話が鳴った。首相からだった。

 「代表質問の衆院本会議には出ない。辞任するつもりだ」

 一方、大島氏はすばやく動いた。国対委員長の職務として、午後1時から始まる予定の衆院本会議を止めなければならないからだ。その本会議では、首相の続投を前提に、所信表明演説に対する各党の代表質問が行われる予定だった。

 1時直前、衆院議長室に駆け込んだ大島氏は、河野洋平議長に事の経緯を説明。さらに、民主党の山岡賢次国対委員長に電話で事態の急変を告げた。「首相は辞任する。代表質問には答えられなくなった。申し訳ない」

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 9日8日、首相が外遊先の豪州・シドニー市内のホテルで開いた同行記者団との懇談会。解散総選挙の可能性を問われた首相は10秒以上沈黙した。首相はその間、悩んでいるふうでもなく、険しい表情というわけでもなく、まったくの無表情だった。懇談後、記者団の間では、「大丈夫なのか。自殺するんじゃないか」と心配する声もあがった。このとき、すでに首相の脳裏には「辞任」の2文字があったのかもしれない。

 「麻生さん、ちょっと…」。

 帰国後の10日午後5時24分。国会3階の党総裁室で開かれた役員会が終わり、部屋を出ようとする麻生氏を首相は呼び止めた。2人はエレベーターで2階に降りると、院内大臣室へと消えた。けげんそうな表情の麻生氏に首相は静かに辞意を語り始めた。麻生氏はそれを2日間、胸の内にしまい続けた。

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 12日午後0時45分から始まる予定だった自民党代議士会。午後1時からの代表質問を前に議事日程などが報告されるはずだった。そのとき、室内のテレビが伝えたのは、「首相、辞意」の緊急速報だった。遅れて駆けつけた大島氏は額に汗を浮かべながら、首相の辞意を正式に報告した。

 午後10時、国会近くのグランドプリンスホテル赤坂の39階。小泉純一郎前首相の飯島勲元秘書官は「小泉チルドレン」と呼ばれる1回生議員に声をかけ、会合を開いた。31人が集まった。同席したのは自民党の中川秀直前幹事長、安倍首相とたもとを分かった小池百合子前防衛相ら。飯島氏はすごんでみせた。

 「50人以上集まったらおれの責任で小泉を出馬させる」

 同じころ、このホテルから近い赤坂の日本料理店には、二階俊博総務会長らの姿があった。どういう思惑か、ここにも中川氏は姿をみせた。激震もつかの間、無情にも、すでに自民党議員の関心は安倍首相の次の首相(自民党総裁)選びへと移っているのだ。
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by deracine69 | 2007-09-13 09:14 | 政治  

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