安倍首相辞任 突然の政治空白 気まぐれの病気?

9月13日9時59分配信 毎日新聞

 安倍晋三首相が12日、突然政権を投げ出したことで、内政・外交でいくつもの空白や停滞が生じる。焦点のテロ対策特別措置法の延長問題は、国会が事実上の休会となるため審議入りが大幅に遅れ、11月1日に期限切れとなるインド洋での海上自衛隊の給油活動は、皮肉にもこの辞任表明によって、いったん途切れることが確実になった。景気の行方を左右する来年度予算編成への悪影響も避けられない。

 給油活動の継続について、安倍首相が訪問先のオーストラリアで「職を賭す」とまで意気込んでみせたのは、わずか3日前のこと。異様な決意表明に驚いた政府・与党は、今月下旬にはテロ特措法に代わる「新法案」を国会に提出するため、作業を急いでいた。

 しかし、突然の政治空白でそれもストップする。与謝野馨官房長官は12日の記者会見で「その話は一時、新総裁ができるまでは誰も熱心にやってくださらないのではないか」と述べた。新総裁選出後も、新首相は国会で改めて所信表明演説をする必要があり、各党の代表質問や予算委員会はさらにその後に行われる。新法を成立させるには、11月10日までの会期の延長が避けられない。

 安倍首相は辞任表明会見で「新法だと一時的中断という状況が出てくる。その時に(辞任を)判断するよりも、なるべく早い決断がいいだろうと判断した」と語り、給油活動の中断は避けられないことも、辞任表明の理由であると明かした。

 ある防衛省幹部は「乱世を生き延びる政治家には能力、体力ともに必要だが、それがなかったんだろう」と突き放した。

 この時期の内閣交代は、予算編成や税制改正にもマイナスだ。額賀福志郎財務相は記者団に「概算要求を受けて本格的な作業に着手したところなので緩みなく継続させる」と強調したが、財務省幹部は「経済閣僚も経験しないまま首相になった人だから、予算編成がどうやって行われているのかもよく分かっていないのでは」とあきれ顔だ。

 外交では、今月末の国連総会には新首相が出席できる見通しだが、安倍首相の年内訪中はなくなった。中国政府は新首相の訪中を要請する意向だが、政治日程が立て込めば流動的になる。安倍首相は数少ない成果だった日中関係の改善にも、自ら水をさした格好だ。

 北朝鮮政策も軌道修正が予想される。安倍首相の政治的影響力が失墜するのは確実で、政府の拉致問題への取り組みが鈍るのは避けられない。拉致被害者家族たちも政権と共に投げ出された格好になり、失望感は強い。

 与謝野長官は辞任理由として体調問題を強調したが、「病気には気まぐれの病気もあったり(する)。どの病気か知らないが、なかなか苦労しているんじゃないか」と述べた。【中田卓二】
[PR]

by deracine69 | 2007-09-13 09:59 | 政治  

<< 体力の限界 突然の決断 加ボンバルディア、航空会社にQ... >>