重責投げ 敵前逃亡 『党首会談拒否され』八方ふさがり…強気消え

2007年9月13日 東京新聞
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辞任表明会見で、うっすら涙を浮かべる安倍首相=12日午後2時19分、首相官邸で

 参院選で惨敗を喫しながらもしがみつき続けた政権の座を、最後はあっけなく放り出した。「職を賭す」とまで言い切って臨んだ臨時国会開幕から三日目の十二日、安倍晋三首相が突然、退陣を表明した。目に涙をにじませて臨んだ記者会見。一国のリーダーとしての気概や気力は、もはや少しも残っていなかった。「美しい国」を掲げ、首相の座に一気に駆け上がってから一年足らず。唐突すぎる“退場”に、有権者からは「遅すぎた」「責任放棄だ」と厳しい声が上がった。 

 午後二時、首相官邸の会見場。濃いグレーのスーツに青いネクタイ姿の安倍首相は、憔悴(しょうすい)しきったように青白い顔。記者やカメラマンであふれかえった会見場内を見渡した後、「本日、総理の職を辞すべきと決意しました」と切り出した。目にはうっすらと涙がにじんでいた。

 「民主党の小沢(一郎)代表に党首会談を申し入れましたが、残念ながら断られてしまいました」。参院選で小沢氏と激しく戦った気力も、すっかり消えうせていた。

 「テロとの戦いを継続させるにはどうすべきか。局面を転換しなければならないと考えた」。唐突な辞任の理由を、そう説明した。

 自らが首相の座にとどまることが「マイナス」「障害になる」と弱気な言葉を重ね、退陣後のことは「新しいリーダーのもとで」。「無責任では」といった厳しい質問を浴びせられると、「反省点は多々ある。国民の信頼を得られなかった」と無念さをにじませた。

 「挑戦をし、成果も上げてきた」と胸を張った場面は、ごくわずか。キャッチフレーズの「美しい国」は最後まで口にしなかった。「新しいリーダーは力強く政策を前に進めて」と言い残し、二十分余りで退場した。

小沢代表ばっさり『思考分からん』

 「安倍総理の心境、思考方法がよく分かりません」。午後三時から民主党本部で会見した小沢一郎代表は硬い表情。首相を辞任に追い込んだ喜びは見せなかった。

 小沢氏は「われわれはできるだけ早い機会に総選挙の実施を目指し、国民の支持の過半数を得られるよう努力していく」と述べ、辞任の引き金となったテロ特措法延長への反対姿勢については「政権が代わっても変えることはありえない」ときっぱり言い切った。

 民主党の代議士会は高揚感あふれるムード。小宮山洋子衆院議員は「これから自民党はどうなるのかしら。分からないわねえ」と笑顔。河村たかし衆院議員は「要するにお坊ちゃんで、格差社会で苦しむ国民の心と離れていた。辞める理由を探していて、『小沢代表が会談を断ったから』ということにしたのでは」と分析してみせた。
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by deracine69 | 2007-09-13 08:00 | 政治  

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