戦後体制脱却が頓挫 年金も公約果たさず

'07/9/12 中国新聞

 安倍晋三首相が十二日、退陣表明したことで、昨年九月の就任以来掲げてきた、憲法改正を筆頭とする「戦後レジーム(体制)からの脱却」「美しい国づくり」などの理念目標の頓挫は避けられない。

 同時に、参院選惨敗を受け十日の所信表明演説で実行を国民に“公約”したばかりの年金記録不備問題の解決、政治資金透明化のための規正法再改正など多くの政策課題も、果たされないまま後継首相に引き継がれることになった。

 「戦後レジームからの脱却も果たさなければならないとの思いだった」「所信表明で述べたことを実行していく責任が私にはある」―。首相は十二日の記者会見でもそう語ったが、結局は「それを果たしていくことができない」との判断に至ったと力なく語った。

 首相は年金記録について来年三月までに、未統合のまま宙に浮いた形の五千万件の記録に関し照合、通知を完了させると宣言した。しかし十日に、五千万件のうち約一割の約五百二十四万件に氏名が入力されていなかったことが判明。照合作業の遅滞につながりかねず、三月までの完了には黄信号がともり始めた。

 政治資金規正法をめぐっては、首相は参院選後、政治団体の一円以上の事務所費に領収書添付を義務付ける再改正の検討を自民党に指示。だが党側は「今国会で(法案提出)できるかどうかは確約できない」(麻生太郎幹事長)と消極姿勢のままで、一向に進展の見通しがついていない。

 外交関係では、日本が議長国となる来年七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の準備が大きな課題だった。首相は、主要課題となる地球温暖化対策に関し「世界を主導する」と所信表明で強調しながら議長席を譲ることになった。

 首相が就任以前から長く取り組み、所信表明でも「鉄の意志で取り組む」と重ねて力を込めていた拉致問題の解決も果たせなかった。このほか「高い学力と規範意識」を目指した教育改革、天下り規制強化などの公務員制度改革、集団的自衛権行使容認の検討なども道半ばのままだ。
[PR]

by deracine69 | 2007-09-12 23:59 | 政治  

<< チルドレンに「小泉再登板論」・... 早期解散へ民主加速 小沢氏「衆... >>