<自民総裁選>イメージや言葉のアピール力は? 専門家分析

9月15日21時17分配信 毎日新聞

 自民党総裁選が本格的に始まった。近年の選挙はイメージや言葉によるアピール力が勝敗を決する傾向が強い。福田康夫元官房長官(71)と麻生太郎・自民党幹事長(66)の初対決となった15日の共同記者会見を専門家に分析してもらった。

 「武器としての<言葉政治>」(講談社)などの著書がある名古屋外国語大学の高瀬淳一教授(情報政治学)は福田氏について「調整型と言われるように回答も配慮調で、国民はさほど驚かなかったはず」と見る。

 福田氏「特に拉致の問題は、対話と圧力で臨んでいく。しかし、交渉する余地がないならば、交渉しようという姿勢が伝わる方法はないのかと思います」(北朝鮮政策について)

 「冒頭で自らの意見を述べつつ、最終的には『視点の多様性』を主張する。どの考え方とも対立することがなく、党員は安心できるかも」と分析。「従来型のリーダーならそれでいいが、ワンフレーズで言い切る小泉純一郎前首相の後では物足りない。リーダーとしては合格点をあげられない」と話す。

 高瀬教授は一方の麻生氏についても「漫画好きにしては、理屈っぽい説明調で、期待外れだったのではないか」と言う。

 麻生氏「私は前に朝日新聞でしたか、自分の見解を述べておりますので参考にしていただければと思います」(戦没者追悼施設について)

 「これでは国民には分からない。記者名や会社名を確認して回答していた場面もあったが、記者に答えているだけで、国民に対するメッセージにはならない」

 トータルとして高瀬教授は「年配の方には、福田氏は安心できる存在に映ったかもしれない。麻生氏はもっと大胆に福田氏を批判して、対決色を鮮明にしてもよかった」と見る。

 「情報操作のトリック」(講談社現代新書)などの著書がある明治学院大学の川上和久教授(政治心理学)も同様の見解だ。

 「福田氏は妙にすました感じで面白みはなかった」というのが率直な感想。だから「麻生氏が逆転を狙うなら、福田氏が顔をしかめるくらいの麻生節を出せばよかったのに、福田氏と同じ土俵に乗ってしまった」。

「65歳以上の方で介護を必要とされる方の比率は約15%弱。残りの85%はお元気。71(福田氏)、66(麻生氏)、同じく元気」

 「これが唯一、麻生氏らしい冗談だったのに、元気なく言ったので効果がなかった。あれでは、安倍首相を引きずり下ろした男という悪印象を払拭(ふっしょく)できません」

 また川上教授は「劣勢であるからといって、出馬を取りやめていたならば……」という言葉に、麻生氏のあきらめを感じ取ったという。「負けを最初から認めているのと同じ。テレビカメラの前で思い切ったパフォーマンスをすれば逆転もあり得るかもしれません」【日下部聡、永井大介、苅田伸宏】

 ◇福田康夫元官房長官の語録◇

 「間違っているのは、野党の餓鬼どもだ」(官房長官当時の00年11月21日、衆院本会議で森内閣の不信任案採決が未明までもつれ込んだことに触れて)

 「なくなっちゃうのは寂しいですよねえ。私もかつてごやっかいになったことがある」(04年2月10日、BSE問題で吉野家のメニューから牛丼が消えたことに触れて)

 「風のごとく来りて、風のごとく去る」(04年5月10日、自らの年金未納問題で官房長官を退任する際のあいさつで)

 「トップ同士も国民も、お互いに感情的になるのは最低だ」(06年5月27日、名古屋市の講演。小泉純一郎首相(当時)の靖国神社参拝をめぐり、中国や韓国との関係が悪化したことを評して)

 ◇麻生太郎幹事長の語録◇

 「(祖父の吉田茂元首相との)共通点は世間の言うことはあまり気にならないということかな。テレビは見ないし、新聞も読まないということは似てる」(01年、初めて総裁選に立候補した際の共同インタビューで)

 「朝鮮の人たちが『名字をくれ』と言ったのがそもそもの始まり」(03年5月31日、東京都内の講演で、日韓併合時代に日本政府が行った「創氏改名」に触れ)

 「秋葉原のオタクのみなさん!」(06年9月9日、東京・秋葉原における総裁選の街頭演説で)

 「7万8000円と1万6000円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でも分かる」(07年7月19日、富山県高岡市の講演で日本の米が中国では高値で売られていることに触れ)
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by deracine69 | 2007-09-15 21:17 | 政治  

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