基礎年金 全額税方式が急浮上 福田氏・経団連会長言及

2007年09月22日 朝日新聞

 老後の最低限の生活費となる基礎年金をすべて税金でまかなうべきだという議論がにわかに注目を集めている。御手洗冨士夫・日本経団連会長が税方式を唱えたのに続き、自民党総裁選に立候補している福田康夫元官房長官も21日、柔軟な姿勢を示した。税方式を主張する民主党を政策協議に引き込む思惑も見え隠れするが、財源の確保は容易ではなさそうだ。

 ●誘い水

 「(税方式も)含めて柔軟に」。基礎年金をめぐる福田氏の21日の発言には、民主党との政策協議への誘い水にしようとの思いがにじんだ。

 「国民全般にかかわる問題だ。与野党で一生懸命に考えぬいて良い案をつくるというのも一つの方法だ」。その発言を聞いた福田氏支持の自民党ベテラン議員は「民主党との話し合いを最初から拒絶はしないという姿勢の表れだ」と語る。

 背景にあるのは、参院第1党となった民主党との合意がなければ、年金制度の安定化は立ち往生するとの危機感だ。

 政府・与党は09年度までに基礎年金の国庫負担割合を今の3分の1から2分の1に引き上げる予定で、2・5兆円の財源が必要になる。民主党に反対されれば、延期せざるをえなくなる。

 与党内には、ある程度の譲歩をしてでも、協議の土俵をつくるべきだとの主張が出始めていた。谷垣禎一・元財務相は先月、福田氏との会食で訴えた。「税金を投入するという点では、我々の案と民主党案が言われるほど違うわけではない。議論の余地はあります」

 ●思惑

 税方式議論の口火を切ったのが、御手洗氏の20日の記者会見だった。

 基礎年金の財源について「税金でやったほうがいいと思う。徹底的な歳出カットを前提に消費税で賄えばいいのでは」と言い切った。

 「国の根幹である年金制度は、与野党を超えた議論が必要」(財界首脳)との姿勢が財界にはあるが、それだけではない。経営者の間には、もともと従業員と会社で折半する保険料の軽減を求める声がくすぶっている。しかも、現行の保険料率約15%が17年度には18・30%に引き上げられる。

 財界ではすでに、経済同友会が今年春、税方式で月7万円の新たな基礎年金を設ける構想を示している。年金保険料をなくすことを前提に、消費税は16%までの引き上げを見込む。「2階部分」にあたる報酬比例部分は民営化するとの内容だ。

 ●道のり

 ただ、全額税方式化に向けた検討がすんなり進むわけでもなさそうだ。

 与謝野官房長官は21日の会見で、税方式について「国庫負担を2分の1にする財源も議論がきちんと終結していない。全部を国庫負担とするなら、財源をどこに求めるのかの方向性が示されないと議論にならない」と慎重な姿勢を示した。

 政府からすれば、04年度に経済や人口動向にあわせて給付水準を自動的に調整する仕組みを導入し、「100年安心」と位置づけたばかり。簡単に、税方式へとかじを切るわけにはいかない。

 一方の民主党にしても、御手洗氏の発言について幹部が「よく見極めないといけない。財界とは、制度設計の考え方が違う」と語るなど、与党や財界の動きに対する警戒を緩めていない。
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by deracine69 | 2007-09-21 18:03 | 政治  

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