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終身刑のエストラダ前大統領 『私は無罪、恩赦は受けぬ』

2007年9月22日 東京新聞

 【マニラ=青柳知敏】大統領在任中の横領罪などで終身刑の有罪判決を言い渡されたフィリピンのエストラダ前大統領(70)が二十一日、本紙との単独電話取材に応じ、アロヨ政権が検討している恩赦の適用について「受けるつもりはない」と明言した。前大統領は「私は無罪であり、判決は不当な政治判断だ」と主張、法的措置によって現政権と対決する強い姿勢を示した。

 約四十億ペソ(約九十七億円)に上る不正蓄財などを断罪された前大統領は、十二日の判決後、マニラ首都圏郊外のリサール州タナイにある別邸で自宅拘禁されている。面会は基本的に禁止だが、外部とは電話連絡が許されている。取材は前大統領の携帯電話への通話で約十五分行った。

 前大統領は、フィリピン史上初となった大統領経験者への有罪判決について「まったくでたらめだ。今後も順を追って法的手段を取っていく」と述べ、公務員犯罪特別裁判所への手続き期限の二十七日までに、異議申し立てを行う意向を明らかにした。申し立てが却下された場合、最高裁に上告する方針という。

 政権は判決を「司法システムの勝利」と評価する一方で、政治的影響力を維持する前大統領支持者の反発を抑えるため、大統領権限による恩赦の適用を検討している。

 この点について前大統領は「アロヨ政権からは過去にも、国外に亡命すれば裁判を見送るとの交渉を持ち掛けられた。私には、それを拒否して法廷に立った経緯がある」と説明。「打診があれば中身だけは検討する」としながらも、判決を取り消し、公民権を復活させる「完全恩赦」以外は「許容どころか検討にも値しない」と言い切った。

 民間機関が判決前に行った世論調査では、57%が「前大統領は無罪が妥当」と答えている。二十日には、マレーシアのマハティール前首相との政治対立で解任され、権力乱用罪などで服役していた同国のアンワル元副首相から「お互いに政治利用された」との電話があったという。

 フィリピン最大のモンテンルパ刑務所の受刑者ら約百人は「終身刑の刑期をわれわれに割り振って、前大統領を無罪にしてほしい」との要望書を提出。リーダー格の服役者(50)は「エラップ(前大統領の愛称)の時代に、死刑を終身刑にする恩赦を受けた。その恩返しだ」と獄中で答えた。

by deracine69 | 2007-09-22 08:00 | アジア・大洋州  

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