「調整型」福田新総裁、神経質で頑固な性格

9月23日20時20分配信 産経新聞

 「好きで政治家をしているわけではない」

 福田康夫氏がかつて平然と語っていた言葉だ。その福田氏が首相に就任しようとしている。福田氏は父の赳夫元首相について多くを語らないが、政治家よりも旧大蔵官僚としての父に敬意を払っていたようだ。

 「父の職業を『官吏』と書くのに誇りを持った」。田中真紀子外相(当時)が、外務省改革の名の下に官僚と激しく対立する中、福田氏は官房長官として官僚を前にこう語ったことがある。赳夫氏は主計局長時代の昭和23年、昭電疑獄の収賄容疑で逮捕された。後に無罪が確定したが、事務次官を目前に大蔵省を退官せざるを得なくなり、政治家へ転身した。「マスコミに振り回される赳夫氏の姿は、少年時代の福田氏にとってトラウマになったようだ」(後援会幹部)という。

 左手をポケットに入れ、右手を挙げて「よーっ」と声をかける愛嬌(あいきょう)あるパフォーマンス、そして「昭和元禄」「さあ働こう内閣」などの造語やユーモアを交えた演説。赳夫氏には多くの支持者が集まり、中曽根康弘元首相ら大物議員がそろう旧群馬3区で、赳夫氏はいつもトップ当選を果たした。その後援会を福田氏は受け継いだ。

 しかし、福田氏はカメラの前でさえ笑顔を振りまくことが苦手で、10メートル前の人を相手に話すような張りのない演説。赳夫氏とのギャップに後援会幹部は、会合で福田氏を「10分ほどあいさつしたら、後は後援会が何とかやるから」などと扱ってきた。他の群馬県選出議員の秘書は「世界を相手に仕事をしてきたサラリーマン時代と、支持者に頭を下げる秘書、政治家という職業のギャップに『冗談じゃない』と思ったはずだ」と、福田氏の当時の「心境」を代弁。また、それが冒頭の発言につながっているとも指摘する。

 周囲には「スポークスマンには向いていない」とこぼしながら、記者会見では皮肉を交えた当意即妙の受け答えが話題を呼び、在任期間は歴代1位の1289日に及んだ。とくに、サラリーマン時代から培った経験を生かし、「官邸外交」の主導的役割を果たした。

 「調整型」だといわれる半面、神経質で頑固な面もある。官邸内で会議を主宰すると、マスコミなどに情報が漏れないよう、出席者一人ひとりに、指をさしながら「いいね、いいね」と念を押したという。プライドの高さも相当なもので、副大臣人事で注文する飯島勲首相秘書官(当時)に、福田氏が「秘書官の分際を超えている」と反撃したこともある。官房長官辞任後の福田氏は長く表舞台から遠ざかった。長男の達夫氏に選挙区を譲るのは時間の問題との観測も流れたほどだ。

 しかし、参院選直前に行われた今年7月の群馬知事選で、現職優位の下馬評の中、新人候補の選対本部長に就任。顔を真っ赤に日焼けさせながら1日40カ所以上の演説をこなすタフぶりを見せ、当選を勝ち取った。支持者は一様に「本人の選挙以上に動いた」と舌を巻いた。安倍内閣の迷走ぶりをみて、そのころには、今日の事態を予感していたのかもしれない。(今堀守通)
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by deracine69 | 2007-09-23 20:20 | 政治  

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