安倍政権経済運営への評価 専門家は厳しい見方、新政権にも懐疑的

9月24日22時52分配信 産経新聞

 安倍内閣が25日総辞職する。安倍晋三首相は「成長なくして財政再建なし」を旗印に、高い経済成長を実現して財政再建を目指す「上げ潮」路線を展開した。だが、成否の鍵を握る名目成長率は下方修正され、“公約”とされた平成18年度中のデフレ脱却はいまだ果たせぬまま幕を降ろす。安倍政権の経済運営の評価は、専門家の間ではおおむね厳しいものとなった。

 上げ潮路線は構造改革や技術革新によって産業を活性化させ、持続的な高成長を実現していく。それにより税収の自然増を図り、増税なき財政再建を目指すシナリオだ。

 中川秀直自民党幹事長(当時)、大田弘子経済財政担当相が軸となって施策を展開。内閣府は今年1月、経済財政運営の中期指針「日本経済の進路と戦略」の中で、「成長戦略の効果が発揮されれば、23年度には物価変動の影響を加味した名目成長率が3・9%に達し、増税なく基礎的財政収支を黒字化できる」との試算を打ち出した。

 このシナリオに沿い、6月の骨太の方針に就労支援や中小企業対策、技術革新の促進などを柱にした「成長力加速プログラム」が盛り込まれた。

 経済活性化の方策として、羽田空港の24時間化など空港や港湾の自由化、金融資本市場の国際化など改革が進まない分野にメスを入れる一方、改革で広がる格差問題の解消にも目配りした。

 政策を具体化する予算編成で「実行段階に入る」(大田担当相)はずだった。だが、エコノミストの見方は「概念先行。柱になるものがない」(上野泰也みずほ証券チーフマーケットエコノミスト)と手厳しい。

 リーマン・ブラザーズ証券の白石洋エコノミストも「政府のしたことは日銀に(利上げしないよう)圧力をかけたくらい。成長を促す手だては見当たらず、看板倒れ」と酷評される始末だ。

 8月には23年度の経済見通しを名目3・7%に下方修正し、足元の4~6月期は名実ともマイナス成長に落ち込んだ。景気拡大は続いているが、物価が継続的に下落する「デフレ脱却宣言」もできないままだ。

 そもそも成長戦略とデフレ脱却は矛盾した政策だったともいえる。規制緩和は値下げ圧力につながり、財政再建は公的需要の削減となる。ともに短期的には物価下落の方向に作用するからだ。

 自民党新総裁の福田康夫氏は、小泉内閣から続く構造改革路線を継承しつつ、消費税増税を含めて財政再建にも配慮した現実的な路線に軌道修正を図る可能性があり、安倍内閣の上げ潮路線と一定の距離を置きそうだ。だが、明確な方針は示されておらず、「結局はニュアンスの違い。体質が変わるか疑問」(白石氏)と、大幅な路線変更には懐疑的な声が多い。
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by deracine69 | 2007-09-24 22:52 | 政治  

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