海自給油転用疑惑、新たな“火種”に 政府、解消に躍起 野党は徹底追及の構え 

9月28日8時1分配信 産経新聞

 臨時国会の最重要課題であるインド洋での海上自衛隊の補給活動継続問題で、米軍艦船などが補給を受けた燃料をイラク作戦などへ転用した疑惑が浮上している。石破茂防衛相は27日、民放テレビで、800回近い補給について相手国による目的外使用がなかったか全件調査を行う意向を示したが、民主党など野党は国会で政府・与党を追及する方針。テロ対策特別措置法に代わる新法制定を目指す政府・与党には新たな“火種”で、懸念の声が広がっている。

 ■80万ガロンに動揺

 テロ特措法はアフガニスタン作戦支援に目的を限っており、新法でも変わらない。イラク戦争への転用が明確になれば、立法目的に触れることから国会審議で立ち往生し、政権に大きな打撃となる。政府・与党は疑惑の解消に躍起だ。

 転用疑惑のうち、政府・与党が最も動揺しているのが、日本のNPO法人「ピースデポ」が、平成15年2月25日に海自補給艦が米補給艦に提供した約80万ガロン(約3000キロリットル)の燃料が、ペルシャ湾でのイラク監視活動に参加する米空母「キティホーク」に給油されたと指摘したことだ。

 政府は15年当時、現首相の福田康夫官房長官(当時)らが、給油量を空母の1日の消費量に当たる約20万ガロンにすぎないとし、「イラク攻撃に使われることは現実的にあり得ない」と転用を否定した。しかし、キティホークの航海日誌などに基づくNPOの指摘で防衛省が確認し、約80万ガロンを提供していたことが分かった。

 これまで政府は補給する艦船の活動範囲を事前に確認しており、「(燃料の)使途の詳細を承知する立場にない」(18日の政府答弁書)と突っぱねていたが、NPOの指摘で「当時はイラク戦争前であり、米海軍の作戦海域も今ほど厳密に分けられていなかった」(防衛省幹部)と釈明する羽目になった。

 福田首相も就任前の23日、民放テレビ番組で「インド洋(での活動)と思っていたものが、途中から『イラクに行ってくれ』ということもあったかもしれない」と語らざるを得なくなった。

 ただ、関係国が作戦の詳細を明らかにする保証はなく、安全保障上の観点から「どこまで公開できるかは言えない」(増田好平防衛事務次官)のが実情だ。26日の公明党の外交安全保障調査会でも、防衛省の説明は「米側に照会している」の一点張りで、出席議員から「そんな説明で委員会での質疑に耐えられると思っているのか」と厳しい声が飛んだ。

 こうした中での「全件調査」は、「野党に資料請求されたら審議はストップだ。年金記録問題のようになってきた」(公明党幹部)との懸念も生んでいる。

 ■「開示求める」

 民主党など野党各党は国政調査権も活用しながら政府・与党を追及し、窮地に追い込む構えだ。「政府・与党や首相はウソをついていた」(民主党幹部)として、補給活動継続への賛成が反対を上回るようになった世論の動向を転換する思惑もある。

 民主党は27日の外務防衛部門会議で、補給活動について防衛、外務両省から聴取した。しかし、防衛省側はやはり、他国の艦艇への給油時期や回数、補給量について「ゼロ回答」だった。

 長島昭久衆院議員は、「米軍の運用はエリアごとだが、米艦艇はエリア間を往来する。この船は(海自の補給対象の)OEF(不朽の自由作戦)用と色が付いているわけではない。日本政府のように、アフガン作戦以外に給油していないとは言えないはずだ」と、政府の説明の枠組みそのものが成り立たないと追及した。

 菅直人代表代行は同日の記者会見で、「意図的に(目的外の給油を)やっていたとすれば国会、国民をだまし、シビリアンコントロールの範疇(はんちゅう)を超えたことになる。徹底的な開示を求める」と強調。さらに「米第5艦隊のホームページにも(目的外使用が)述べられていた」と指摘した。
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by deracine69 | 2007-09-28 08:01 | 政治  

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