日本版NSC見送り 今国会、給油新法を優先

2007年10月8日 中日新聞

 政府・与党は七日、日本版「国家安全保障会議」(NSC)を新設するための安全保障会議設置法改正案について、今国会での成立を断念した。海上自衛隊によるインド洋での給油活動を継続する新法案の成立を最優先するため、官房長官、外相、防衛相ら国会答弁を担当する閣僚が重なる同改正案を並行して審議・成立させるのは困難と判断した。

 改正案には、来年四月のNSC発足を盛り込んでいたが、ずれ込みが確実になった。

 NSC新設は、外交と安全保障の国家戦略を首相主導で迅速に決定するため、官邸の司令塔機能を再編・強化するのが狙い。現行の安全保障会議メンバーは首相(議長)と八閣僚だが、新設のNSCでは首相、外相、防衛相、官房長官の四人に限定した。ただ、資源・エネルギーや政府開発援助(ODA)など議題によっては、首相の判断で他の閣僚も参加させると規定していた。政府は今年四月、改正案を通常国会に提出し、今国会で継続審議となっていた。内閣官房は二〇〇八年度予算の概算要求で、NSC新設費用として六億九千万円を要求している。

◆参院「ねじれ」、衆院解散含み 実現さらに不透明

 【解説】日本版「国家安全保障会議」(NSC)新設構想は、安倍晋三前首相が昨年九月の就任前から「ホワイトハウス」型の官邸主導政治を確立する目玉として、実現に意欲を示していた。それだけに今回の法改正見送りは、福田内閣での「脱・安倍カラー」を印象付ける。

 ただ、官邸において、安倍前首相が目指したものは、NSCという「器」がない現在も、運用面で実現しつつある。

 海上自衛隊の給油活動継続を目的とする新法案策定は、官房長官、外相、防衛相の会合で基本方針が決定された。政府開発援助(ODA)戦略や地球温暖化対策でもそれぞれ、首相や官房長官を中心とした少人数の閣僚・スタッフによる政策決定という機動的なスタイルが定着し始めている。

 その上で、新たなNSCを必要とするかどうかは、福田首相の腹次第だ。

 参院で与野党逆転した国会情勢を考えれば、対決姿勢を強める民主党から賛成が得られるかどうかも分からない。

 また、来年の通常国会は、衆院解散含みの展開になるのは確実。解散により法案が廃案になる事態もあり得るだけに、日本版NSCの実現は一層、不透明になったといえる。

  (岩田仲弘)

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by deracine69 | 2007-10-08 08:00 | 政治  

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