福田首相 指導力も危機感もない

2008年3月21日 北海道新聞 社説

 決まらないのではなく決められない。

 まもなく発足から半年。福田康夫内閣は漂い始めたように見える。

 日銀総裁の後任を決められず、戦後初めて空席という異例の事態を招いてしまった。

 福田首相は「今は普通の時じゃない」と強調する。その通りだ。米国は金融危機のふちにある。日本の株価は下がり、円は急騰している。

 その非常時に、金融政策の要を不在にした首相の政治責任は極めて重いと言わざるを得ない。

 首相はこうもいう。「国会の情勢が人事に影響を与えている」「民主党の考えがよく分からない」。決まらないのは「ねじれ国会」と野党の横暴のせいだと主張したいのだ。

 確かにねじれの下での政権運営は容易でない。参院で主導権を握る野党、とりわけ第一党の民主党が大きな責任を共有していることも間違いない。

 だが、最終的に政策方針を決め、実行に移していく責務が政府・与党にあることは言うまでもないことだ。

 共同通信社の最新世論調査で内閣の支持率は33%にまで落ち込んだ。不支持率は50%を超えた。一番多い理由は「首相に指導力がない」だった。

 ねじれだからこそ野党との協調は不可欠だ。それができなければ首相は務まらなくなる。国民の不満が首相の力量と資質に向かうのは当然だ。

 首相はかつて対談で「静かなる改革が一番良い」と話した。劇場型と呼ばれた小泉純一郎元首相、力みと空回りが目立った安倍晋三前首相に比べ、その政治手法には安心感を覚えた。

 ところが、いまだに福田流「改革」で何を目指すのか明確な輪郭がつかめないのはどうしたことか。

 今年、福田カラーとして打ち出した政策に消費者行政の重視がある。その後に発生した中国製ギョーザ中毒事件は試金石となったが、首相の対応に格段のこだわりは感じられなかった。

 内閣の方向性がはっきりせず、足元の政治も動かない。これでは国民の期待が高まらないのも無理はない。

 不思議なのは首相の危機感が薄いように見えることだ。大連立協議の一件以来、民主党内で小沢一郎代表の求心力は陰ってきたともいわれる。解散に追い込まれる心配はないと高をくくっているのかもしれない。

 口癖のように繰り返す「国民目線」が空念仏のように聞こえてくる。ここは国民としっかり向き合うべきだ。

 まずは日銀総裁の空席を一日も早く解消しなければならない。年度末の期限切れが間近に迫る道路財源問題の処理も待ったなしだ。

 二つの問題で野党の協力を取り付ける政治の知恵と手腕を発揮できるか。

 かじ取りを誤れば内閣の命運すら危うくなる。そう覚悟した方がよい。
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by deracine69 | 2008-03-21 08:00 | 政治  

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