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食糧暴発 止まらぬ高騰、空腹に乱れる世界

2008年05月04日02時58分 朝日新聞

 世界の食糧高騰が止まらない。途上国の消費増、生産国の大干ばつ、原油高……原因は複雑だ。貧困国がまず苦境に陥ったが、影響はおそらく、そこにとどまらない。

 ■がまんして給食持ち帰る子どもたち―ケニア

 ケニア・ナイロビ。

 泥壁やトタン張りの粗末な家がぎっしりと並ぶ。狭くぬかるんだ路地が入り組む、迷路のようなキベラ・スラム。80万人が住む。日雇い労働で暮らすアイエコさん(37)は、次女ダナさん(10)が通う小学校の春休みが間もなく終わるのを待ち望んでいる。小学校では月曜から金曜まで、世界食糧計画(WFP)の支援で朝食と昼食が支給されるからだ。

 主食ウガリの材料であるトウモロコシ粉はいま、1キロ32ケニアシリング(約54円)。1年前は20シリングだった。朝食はもともとミルクティーだけ。昼・夕食用に週5キロ買っていたのを、4月から3キロに減らした。病気がちの妻と、子ども3人。一家は、3メートル四方の借間で空腹をこらえている。

 ダナさんががまんして学校から持ち帰る給食が、助けになっている。小学校のウオウェ教頭は「給食を残して家に持って帰る児童が増えている」と言う。

 同国西部、穀倉地帯のエルドレト。トウモロコシ畑は雑草が伸び放題だ。1月、大統領選を機に民族衝突が各地で起き、農民の多くが国内避難民になったのが直接の原因だが、情勢が落ち着いても、人びとは畑に戻らない。

 トウモロコシと小麦を2ヘクタールずつ作っていたアグネスさん(40)は「小麦はこれから種まきだから時期は間に合う。でも、肥料が値上がりして手が出ない」とため息をついた。昨年1袋(50キロ)1800シリングだった肥料が4千シリングになった。町なかのピーターさん(33)の肥料店には、在庫が山のように積まれていた。例年の2割しか売れていない。「アメリカ製の肥料なんだが、なぜこんなに値段が上がるのかわからない」

 農業省によると、輸入肥料の価格が倍増し、ガソリン高騰で輸送費が上がったところに大統領選後の混乱があり、穀物価格が跳ね上がった。ケニアはトウモロコシを自給してきたが、今のままでは8月に在庫が底をつく。

 ■価格高騰、各地で騒乱相次ぐ―アフリカ

 西アフリカ・ブルキナファソの首都ワガドゥグ。3月、コメ高騰に抗議するデモ参加者が暴徒化した。今も、壊された信号機やタイヤの燃え残りなど、暴動の「痕跡」が残る。市中心部の穀物卸店は閑散としていた。店番の男性は、「コメが3カ月で2割上がった」と嘆いた。

 水不足に悩む同国では、コメはインドなどからの輸入に頼る。政府はコメ値下げ令や輸入関税停止などの手を打ったが、そのインドが自国のコメ不足・価格高騰で輸出を禁止してしまった。

 アフリカでは各地で食糧高騰が騒乱を呼んだ。カメルーンでは2月、首都ヤウンデなどで食糧と燃料の値上がりから暴動が起き、少なくとも7人が死亡。コートジボワールでは3月末、2都市で群衆と警官隊が衝突、十数人が負傷した。ギニア、マリ、モーリタニアでも暴動が起きた。

 ■コメを求めて首都圏から「疎開」―フィリピン

 アフリカだけではない。

 世界有数のコメ輸入国フィリピン。マニラ首都圏から南東へ300キロ、ルソン島南部のレガスピ市の食糧庁倉庫前で、政府供給米を買う人びとの長い列に並んでいた女性(73)は、3月に首都圏から息子を頼ってやって来た。

 マニラでは、自由価格の流通米が急騰し、市民が雪崩をうって品質は悪いが安い政府米に切りかえた。その結果、政府米も極端な品薄に。それでこの女性は「コメ疎開」を決断したのだ。「ここなら、1時間も並べば1日3キロまでは買えるから」

 バングラデシュ・ダッカ。昨年サイクロンや冷害に見舞われた同国は、米作が大打撃を受けた。だが、頼みの綱のインド米が止まった。何時間並んでもコメは買えない。政府は、価格が安定しているジャガイモを主食として食べるよう、奨励し始めた。(ナイロビ=古谷祐伸、ワガドゥグ=土佐茂生、マニラ=木村文、ダッカ=高野弦)

by deracine69 | 2008-05-04 02:58 | 社会  

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