福田首相、絵は見えてもビジョン見えず

2008年05月05日 スポニチ

 ガソリン税などの暫定税率復活を受けて共同通信などが行った世論調査で、支持率が10%台にまで落ち込んだ福田内閣。20%を割ったのは森内閣(00年4月~01年4月)以来で、政権運営はますます困難を極めつつある。福田康夫首相が支持されない理由を探ると、首相とその周辺の無策ぶりが浮き彫りになった。

 テレビニュースで目にする、福田首相が官邸内で記者に囲まれて行うインタビュー。「ぶら下がり取材」と呼ばれ、平日は原則、毎日行われる。小泉純一郎元首相の時代に始まり、国民にメッセージを伝える貴重な場となっている。福田首相の変化のない表情に退屈して、ふと背景の絵に目をやると、日によって絵が違うことに気付いた。

 ぶら下がり取材が行われるのは官邸4階の閣議室付近など。主に2つの絵と1つの書が飾ってある3カ所で、秘書官がその日ごとに指定。全国紙ベテラン政治記者は「首相の気分や質問内容によって決めるようだ」と説明する。

 官邸によると、絵や書は「日展」など複数の美術団体から無償で借用。季節にふさわしいものを選んで年に4回ほど掛け替え「首相の意向は全くない」という。

 福田内閣発足翌日の昨年9月27日、書は、安倍晋三前首相が好んで掛けていた「凛」から、野党との協調など福田首相の当時の対話路線を表す「和」に替わった。同10月には、真っ赤な紅葉を描いた三輪晃久氏の絵画「紅輝」の前で「私の心の中はこの色」と話すなど、自身の気持ちを代弁するアイテムとして利用しているともみられる。

 小泉元首相の秘書官だった飯島勲氏は「小泉時代はぶら下がり場所は固定していた。絵に注目している国民なんていないのに、取り巻きがメディアを意識しすぎて空回りしている」と指摘した。

 小泉元首相は抵抗勢力を作り上げるなどメディアを巧みに利用。安倍前首相もカメラ目線で語りかけたり話し方講習を受けるなどしてきた。が、福田首相には策がない。

 小泉政権なら郵政民営化、安倍政権なら教育基本法改正など、それぞれが内閣の看板である政策を前面に打ち出していたが、政治評論家の角谷浩一氏は「福田内閣はやりたいことが見えない。官房長官時代はそのクールさが一定の評価を得ていたが、総理に求められるのはリーダーシップ」と指摘。飯島氏も「福田政権は公約がないままスタートした」と注文。ひょうひょうとした雰囲気で物事を人ごとのように話すことも首相の不人気に拍車をかけている。

 いくら絵を見せようとしても、首相が自ら明確なビジョンを示し国民の心をつかむ策を講じなければ、支持率低下に歯止めはかからないということらしい。
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by deracine69 | 2008-05-05 23:59 | 政治  

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