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<船場吉兆>前社長書類送検 「板前の自負」忘れ いさめる従業員も無視

6月27日14時21分配信 毎日新聞

 26日、牛肉産地偽装事件に絡み大阪府警に書類送検された船場吉兆(大阪市中央区)の湯木正徳前社長(74)。日本料理を代表する「吉兆ブランド」を背負ってきた超一流の料理人だったが、トップに就任するや、多角経営に傾斜し、産地偽装にまで手を染め、揚げ句に従業員の忠告も無視するようになった。忘れてしまった板前としての自負。その結果は、堕落した経営者の姿でしかなかった。

 今年春、正徳前社長の知人らが船場吉兆本店で「囲む会」を開いた。前社長は頭を下げて回ったという。だが前社長はあくまで「客」の一人だった。船場吉兆の代理人弁護士が事前にくぎを刺していた。「『自分がお客さんを呼ぶ』なんて思わないように。ちゃんと会費も払って、『客』として来てくださいよ」

 弁護士から、このようにけじめを求められたのがショックだった。「自分の店に行くのに客扱いなのか」。前社長は船場吉兆からの退場を自覚した。

 船場吉兆は、料理界として初の文化功労者に選ばれた故・湯木貞一氏が1930年に開いた料理屋「吉兆」が原点。正徳前社長は若いころから修業を積み、料理人としてめきめき腕を上げた。そして、貞一氏の三女の佐知子・現社長の婿となり、91年にのれん分けされた「船場吉兆」の社長に収まった。

 ここで正徳前社長は、カレーライスや総菜なども扱う多角経営に乗り出す。牛肉産地偽装を始めたのは04年ごろ。いさめる従業員にも偽装続行を指示。不祥事発覚後の会見では、「仕入れ担当の課長クラスだけが知っていた」と架空の役職のでっち上げまでした。この発言には長男の喜久郎前専務(45)も驚きを隠せなかった。「おやじ、何を言い出すんや」

 以降、公の場に姿を見せることはなくなった。そして先月、船場吉兆の廃業の方針を聞いた。その時、前社長は「すべてお任せします」と、肩を落としたという。【久木田照子】

 ◇賃金など未払い、計5000万円に達し

 船場吉兆は先月28日に廃業し、現在、本店の「吉兆」の看板は取り外されている。約80人の従業員は全員解雇。代理人弁護士によると、従業員への未払い賃金と同社負担の退職金などの合計は5000万円を上回るという。

 今月23日には大阪地裁が破産手続きの開始を決定した。破産管財人によると、負債は少なくとも9億7000万円。10月29日の債権者集会までをめどに資産状況を調べ、債権者へ配当できるか検討する。破産管財人は旧経営陣の責任について「破産法に損害賠償責任の規定があり、旧役員も含めて調べていく」としている。

by deracine69 | 2008-06-27 14:21 | 経済・企業  

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