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食偽装に甘い自治体 1割非公表、揺らぐ国の指針

2008年7月8日3時5分 朝日新聞

 日本農林規格(JAS)法にもとづき、食の偽装をした業者に改善を指示する場合、社名や違反事実を原則公表するという国の指針が揺らいでいる。朝日新聞社が47都道府県を調べたところ、1割が非公表とされ、消費者に知らされずに処理されていた。地元に甘い自治体の姿が浮かび上がった。

 02年7月のJAS法改正以降、07年度までの都道府県の改善指示を調べた。計250件のうち、16府県が24件を非公表としていた。茨城県が最も多く、5件。青森、栃木、山口、鹿児島が各2件だった。

 昨年度、改善指示をしながら非公表としたのは富山、広島、山口、熊本の4県。熊本県は昨年7月、中国産を混ぜたアサリを「熊本産」と記した業者名を伏せた。05年にも北朝鮮や中国産のアサリを熊本産とする産地偽装が国の調査で発覚し、県はこの業者を指導していた。担当者は「調査に協力的で改善にも着手し、商品が流通していなかったため」と説明する。

 富山県は今年3月、インドマグロを本マグロと偽った販売業者の事案を公表しなかった。この業者には過去に3回指導をしていた。県の担当者は「すでに表示は改まり、おわびの折り込み広告を出していたことから公表しないことにした」という。

 非公表とする理由は自治体によって様々だ。02年度に異品種を混ぜた米を栃木県産コシヒカリとした米穀店の事例など2件を非公表とした栃木県。担当者は「(改善指示は)国から地方に権限を委譲された自治事務で、国の指針に従う義務はない」と話す。

 輸入のイトヨリダイのすり身を、「鹿児島沖」のマダイなどと記していた業者の例を非公表にした鹿児島県の担当者は「公表しないことで保護される法人の権利利益と、公にすることで保護される人の生命、健康の利益を比較した結果」とする。

 山梨、福井、奈良、和歌山、宮崎の5県は過去6年で1度も改善指示を出していない。奈良県は02年に別産地のそうめんを特産「三輪そうめん」とした業者への対応を巡り、農水省と対立。県は「公表より指導を優先すべきだ」として指示を見送っている。

 国の指針に照らせば「公表」を前提とする改善指示となるのに、非公表となる「指導」ですませるケースも多い。福岡県は今年3月、東北地方のアブラボウズをクエ(アラ)として販売した福岡市の高級料亭を指導とした。仕入れ先から「クエ」と書かれた販売証明書を受け取り、「だまされた」とする料亭側の言い分から、県は故意ではなく、過失と認定。だが農水省の担当者は「プロの料理人が現物を確認して仕入れながら、クエと区別がつかなかったという言い分には疑問が残る」と首をかしげる。(歌野清一郎)

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by deracine69 | 2008-07-08 03:05 | 行政・公務員  

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