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宙に浮く内閣改造…岐路に立つ「自公連立」

7月27日21時44分配信 産経新聞

 福田康夫首相にとって初の内閣改造を目前に控え、まもなく10年目に突入する自民、公明連立政権が突如としてきしみ始めた。公明党は年内解散を念頭に内閣改造に難色を示しており、首相と太田昭宏公明党代表との党首会談も宙に浮いたままだ。このまま内閣改造が先延ばしになれば、自民党内に動揺が広がり、首相の求心力はますます低下するが、今のところ起死回生の秘策は見あたらない。衆参のねじれに翻弄(ほんろう)されてきた福田政権は独自色を出せぬまま、政局の濁流にのみ込まれようとしている。(石橋文登、佐々木美恵)

■動けぬ首相

 26、27の両日、首相は首相公邸から一歩も出なかった。26日午後5時半、山王パークタワーに近い首相官邸裏門から黒塗りのクラウンが猛スピードで乗り入れ、2時間20分後、別の通用門から闇に消えた。乗っていたのは首相の後見人である森喜朗元首相だとの見方がもっぱら。森氏はかねてから内閣改造を勧めており、その人選や政局見通しについて助言したとみられている。

 一方、太田氏は週末を地元・東京12区(東京都北区など)で開かれた盆踊り大会に顔を出すなど「あいさつ回り」に費やした。

 首相、太田氏とも「週末は会う予定はなかった」と言っているが、関係筋によると首相サイドは週末の党首会談を打診したが、公明党側が難色を示し、実現しなかったという。

 太田氏は周囲に「いま首相と会うと目立つだろ。おれは首相と仲がいいから、いつも電話でやり取りしてるんだ」と釈明するが、あえて断ったのは相応の事情があったからだ。

 実は、公明党の支持母体である創価学会は9日まで開かれた北海道洞爺湖サミットを注視していた。サミット効果で内閣支持率が6ポイント以上上がれば、政権は回復基調に乗るが、上がらなければ「政局の始まりだ」(学会関係者)と踏んだのだ。

■年内解散念頭

 各種世論調査の結果はほぼ横ばい。創価学会はここで来春以降に衆院選が実施されるシミュレーションを捨て、年内解散に向け大きくかじを切った。来年7月に創価学会の本拠地・東京で都議選が予定され、衆院選と重なれば「共倒れ」の危険が増すからだった。

 これを受けて公明党幹部は次期臨時国会召集を予定より1カ月先送りする「9月下旬召集説」を唱えだした。海上自衛隊の補給活動を継続する新テロ対策特措法延長に慎重な姿勢へ転じたのも「衆院で再議決し、問責決議を可決されれば解散がすぐにはできなくなる」と判断したためだ。

 公明党は内閣改造についても「改造したからといって支持率が高くなる保証はない」(北側一雄幹事長)と難色を示し始めた。首相が内閣改造に踏み切れば、その布陣で解散が行われる可能性が大きくなるか、年内解散の好機を逃し、来年の通常国会に突入する「危険性」が高まるからだ。

 ここに太田氏が首相との会談を避ける理由がある。ある創価学会幹部はこう打ち明ける。

 「会えば首相のペースに引きずり込まれかねない。党首会談が行われるのは『すべての流れ』が決まった後だ」

 創価学会は7月末から1週間ほど長野・軽井沢で恒例の研修会を開く。この期間中に公明党が福田政権とどう向き合うのか最終調整するとみられ、「すべての流れ」が決まるのは8月初旬となりそうだ。

 だが、内閣改造がジリジリと先送りされれば、自民党内の不満は鬱積(うっせき)する。自民党議員が年内解散を前提に動き出せば「福田降ろし」が加速しかねない。

 かといって見切り発車で、内閣改造を断行すれば、自公の溝はますます広がる。年金問題や原油高対策などで後手に回る政府・自民党に「危機感が足りない」(幹部)と不満を募らせている公明党が閣外協力に転じる可能性さえある。

 6日間の夏休みで英気を養い、公務に復帰した首相を待っていたのは、信頼していた友党の心変わりだった。首相は、予想を超えた厳しい状況を知り、周囲にこう漏らしたという。

 「果たして私が解散してよいものなのか…」

by deracine69 | 2008-07-27 21:44 | 政治  

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