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偽りの緑色五輪? 中国、木を植える男に退去命令

8月3日18時47分配信 産経新聞

 【北京=福島香織】北京五輪のテーマのひとつ「緑色五輪(エコ五輪)」を後押ししようと香港から北京まで約3300キロを木を植えながら歩き続けている英国の著名環境保護活動家、ポール・コールマンさん(53)に事実上の退去命令が出たことが3日、分かった。本来なら五輪開幕日の8日までに北京入りし、五輪記念の植樹をする予定だったが、6日までしか滞在許可が出なかった。理由は不明だが、著名環境保護活動家に対するビザ延長拒否をめぐり、中国の掲げる「緑色五輪」は偽りではないかとの批判も出ている。

 コールマンさんは18年前から地球の環境改善のために生涯をささげると決心し、環境保護活動を続けてきた。これまで39カ国を歩き植樹し、活動の記録は「木を植える男 ポール・コールマン」(菊池木乃実著、角川書店)にまとめられ日本でも知られている。愛知万博のときは地球を愛する100人の1人に選ばれ招待されていた。

 今回、北京五輪が環境を重視していると聞いたコールマンさんは昨年9月22日から「グリーン・オリンピック・ウォーク」と銘打って香港から北京に向かって歩きながら植樹を行ってきた。「五輪を機に中国に環境保護のメッセージを広め、中国の環境改善への努力をサポートしたい」という気持ちからだった。活動は中国メディアにも好意的に取りあげられ、途中で出会う農民や大学生らの中にも賛同者が出て一部の道のりを一緒に歩く人もあった。

 しかし、ウォークの途中で目撃した農村の真っ黒な川や窒息しそうな農薬散布の実態などもインターネットを通じて発信。当局はこれらを五輪の妨げになるとみたようだ。ゴールの北京が近づくにつれ、当局から職務質問を何度も受けるようになり、その都度、「緑色五輪」支援の活動であることを説明してきたが、先日、天津でのビザ更新を拒否され、五輪開幕前の6日までに出国するよう命じられた。このため、グリーン・オリンピック・ウォークはゴールできず中止となった。

 コールマンさんは中国の環境汚染について「これまで巡ってきた39カ国の中で最悪。水質汚染や農薬に自分の体をさらしながら歩いているうちに、健康を害していると感じた」と率直に語る一方で、「中国はこれを改善する努力をしている。それを国際社会がどうサポートできるかを活動を通じて問いかけたかった」という。しかし、中国当局にはこうした善意は通じなかった。

 中国国内の環境保護NGO(非政府組織)も軒並み五輪期間の活動停止を命じられている。中国は北京五輪のために交通規制や工場操業の停止、人工降雨などの方法で大気汚染を軽減し、五輪施設運営には積極的にクリーンエネルギーを採用するなどして「緑色五輪」を強調しているが、その一方で、環境保護活動は封じ込められているのが実情だ。

by deracine69 | 2008-08-03 18:47 | アジア・大洋州  

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