<米原潜>放射能漏れ、ずさん管理浮き彫り 日本は方策なく
8月7日22時59分配信 毎日新聞米原子力潜水艦ヒューストンから放射性物質(放射能)を帯びた冷却水が2年以上にわたって漏れていた問題は、理由は不明にせよ、漏れを放置して日本への寄港を繰り返していた米原潜のずさんな安全管理体制を浮き彫りにした。三つの寄港地で漏れたとされる放射能の量は、人体や環境への影響はないとされるが、情報開示のあり方に疑問符がつくものとなった。
外務省によると、冷却水漏れが始まったとされる06年6月の開始時期の根拠や、放射性物質の推定放出量の計算根拠などは、米側からの情報提供では明確になっておらず、日本側として検証する方策はない。
原子力艦船が日本に寄港する際には、文部科学省と地元自治体が海水や海底土などを採取して放射性物質の有無を検査している。しかし、ヒューストンの寄港時の検査では、これまで一度も異常な確認されていない。日本各地の港で2年以上にわたって放射性物質が漏れていた可能性があるにもかかわらず、米国の情報がなければ、漏出の時期も場所も把握できなかったことになる。
ただし、放出したとされる22.8キロベクレルの方茶能は海で拡散しており、文科省は「人体や環境に影響はない」としている。
文科省原子力安全課防災環境対策室によると、原子炉の冷却水に含まれる代表的な放射性物質コバルト60の場合、検出限界は1リットルあたり4ミリベクレル。同室は「停泊している原潜のすぐ近くで海水を採取しており、検出されなかったということは漏れたとしても非常に少量ずつだったのだろう」とみている。
重大事故の兆候である可能性もあり得る放射性物質漏れを、日本政府が長期間把握できなかったことは、今後の原子力艦船入港時の日米間の情報提供のあり方を問われることにもなりそうだ。【須藤孝、西川拓】
<米原潜>放射能漏れ、2年にわたり確認できず…米海軍
8月7日23時55分配信 毎日新聞
【ワシントン及川正也】米原子力潜水艦ヒューストンの放射性物質(放射能)漏れ問題で、米海軍は7日、米軍自身が約2年にわたって放射能を含む冷却水漏れを確認できていなかったことを明らかにした。なぜ漏水が06年6月に始まったと判断したかについては触れなかった。
海軍は、漏水を確認できなかったのは「検知するにはあまりに微量だったため」と説明。ハワイで定期点検中の今年7月17日、冷却水漏れが見つかり、調査の結果、同24日に複数のバルブのうち一つから冷却水がにじんでいるのがわかったという。海軍には「原子力推進計画」に基づく設計基準があるが、漏水の割合は設計上の規定をわずかに上回る量だった。
by deracine69 | 2008-08-07 22:59 | 社会