<終戦記念日>首相、参拝路線困難に 靖国問題沈静化で

8月14日23時7分配信 毎日新聞

 戦後63年目の終戦記念日を迎え、2年前の小泉純一郎元首相の時とは一変して靖国神社問題は沈静化している。福田康夫首相は就任前から不参拝を表明、「ポスト福田」を目指す麻生太郎自民党幹事長も不参拝の意向だ。「小泉参拝」が国内外の摩擦を生んだ余波ともいえ、現職首相の参拝はむしろ難しくなった。政治目標として首相・閣僚の公式参拝を長年求めてきた日本遺族会も歴史的な方針転換を迫られている。

 15日は小泉氏と安倍晋三前首相が参拝する予定。元々「首相参拝」が持論だった安倍氏は在任中、対中外交改善の課題を抱えて参拝を断念。辞任後に「8・15参拝」を実行せざるを得なくなった。

 首相を目指す麻生氏も、保守の立場ながら、問題解決のため06年に靖国神社を非宗教法人化する私案を発表し、「無理に参ると、靖国を政治化し悪循環を招く」との見解だ。

 「こんな状況で首相参拝ができるはずない」。地方選出の遺族会幹部は嘆く。会長の古賀誠自民党選対委員長も今月、週刊誌のインタビューで「何十年にもわたって『総理の公式参拝の定着』といった同じスローガンだけを掲げていていいものだろうか」と根本的な疑問を提起した。

 遺族会などが8・15公式参拝を初めて求めたのは1978年。国が靖国神社を管理する国家護持法案が74年に5度目の廃案となったのを受け、運動方針を「公人参拝の定着」に転換。首相参拝を定着させることで神社を公的施設と認知させ、国家護持への環境を整える段階的戦略だった。

 しかし、85年に公式参拝した中曽根康弘元首相は、中国への配慮から翌年は見送り、国家護持も神社自身が拒んで挫折。その後も公式参拝運動方針だけが長年独り歩きした。

 01~06年の小泉参拝を遺族会は歓迎したが、A級戦犯合祀(ごうし)を巡る歴史認識などの問題が再燃して、後に続く首相候補たちに足かせをはめてしまった。

 首相参拝路線の行き詰まりは、遺族会の高齢化に伴う政治力低下に拍車を掛ける。状況打開のため、古賀氏が唱えるのがA級戦犯の分祀論だ。「すべての国民がわだかまりなく参拝できる施設にする」ことで、本来目指す天皇参拝の実現へ運動方針を位置づけ直す狙いがあるようだ。

 神社側は分祀に反対だが、6日に東京・九段会館であった全国戦没者遺族代表者会議で、古賀氏は都道府県会長らを前に「靖国神社を真剣に考えなければいけない時期に来ている」と改めて意欲を強調した。【野口武則】
[PR]

by deracine69 | 2008-08-14 23:07 | 政治  

<< 上海で人質立てこもり事件、犯人... 「日の丸おじさん」44年の応援... >>