首相退陣表明:海外メディアも一斉に報道

2008年9月1日 23時51分 毎日新聞

 福田康夫首相が1日夜、辞任を表明すると、海外メディアは一斉に速報した。突然の辞任は一様に驚きをもって受け止められた。

 ◇中国◇

 【北京・浦松丈二】中国の胡錦濤指導部は福田首相の突然の辞任に当惑している模様だ。首脳交流を通じて日本との長期的な関係構築の基礎固めを進めてきた中国は、相次ぐ日本の首相辞任に対日戦略の見直しを迫られる可能性もある。

 中国国営・新華社通信は辞任を速報した。

 胡指導部は今月下旬に日本で開かれる日中韓首脳会談など年末まで毎月予定されるアジア・太平洋地域の首脳級会合で、福田首相との個人的な信頼関係を築き、対日関係の安定化を図る思惑だった。

 中国の楊潔※外相は8月17日の高村正彦外相との会談で「日中の戦略的互恵関係は着実に具体化している。秋以降、たくさんの首脳往来の機会があるので信頼醸成に努めていきたい」と関係発展への期待を表明していた。

 懸案の中国製冷凍ギョーザの中毒事件では、中国国内での類似事件の発生を日本政府に伝え、捜査協力を加速していこうとした直後だった。また、東シナ海のガス田開発問題も解決まであと一歩までこぎ着けていた。日中間の外交交渉は福田首相辞任で停滞を余儀なくされそうだ。

 ※は竹かんむりに褫のつくり

 ◇米国◇

 【セントポール(米中西部ミネソタ州)及川正也】米政府は、安倍晋三前首相に続き、福田政権も「短命」に終わったことで、不安定化を深める日本の政局に懸念を深めている。今後は最大野党・民主党の政権奪取も視野に入れた「同盟」管理を迫られそうだ。

 米政府は、福田政権が世界規模の対テロ戦争を進める米国を下支えしてきたと評価していた。また、小泉政権下でこじれた日中関係の改善に努めた点でも「アジアでの日本の影響力強化につながる」と歓迎していた。

 しかし、衆院と参院との「ねじれ国会」の出現は日本の政権の推進力を著しく低下させたと判断。いずれ総辞職か衆院解散・総選挙があるとみていただけに、首相退陣は織り込み済みともいえる。

 米政府は、強固な同盟国・日本が強い指導力と存在感を国際社会で示すことで、米国が国際政治で影響力を維持するとの戦略を描いている。米政府が懸念する「政権のたらい回し」が現実化していることに憂慮を深めるのは確実だ。

 ◇韓国◇

 【ソウル堀山明子】韓国の聯合ニュースは、福田首相が辞意表明をする直前の1日午後9時20分すぎ、「福田首相、辞任を決断」と速報を流した。KBSテレビも同9時半すぎに福田首相の会見映像を報じるなど、「アジア重視派」首相の突然の辞任に高い関心を示している。

 ただ、韓国政府は「日本国内問題であり、コメントしない。次期首相の選出を見守る」(外交通商省当局者)と慎重な姿勢を見せている。韓国政府内には、朝鮮人が日本名を望んだという「創氏改名発言」(03年5月)で韓国で批判を浴びた麻生太郎自民党幹事長が次期首相に有力視されているだけに、「竹島問題で緊迫する中、日本は強硬姿勢に転じるのでは」(韓国政府高官)と警戒心も出ているようだ。

 韓国政府は現在、竹島問題で日本の善処が見られない中、9月下旬に日本で開催される日中韓首脳会談の出欠の回答を留保しているが、福田首相辞任により開催は困難になったとの見方が強まっている。
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by deracine69 | 2008-09-01 23:51 | 政治  

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