福田首相が「政権投げ出し」、ささやかれる麻生幹事長への禅譲

9月2日0時9分配信 ロイター

 [東京 2日 ロイター] 福田康夫首相は1日、首相官邸で緊急記者会見し、辞任を表明した。ねじれ国会で政策が実現できないことを退陣の理由と説明し、安倍晋三前首相に続く「政権投げ出し」に日本の政治に対する信認が大きく揺らぐことは避けられない。

 「バラマキ」ではないと強調した総合経済対策の決定からわずか3日、景気対策優先を掲げる麻生太郎幹事長への禅譲がささやかれる中、財政健全化路線は後退を余儀なくされている。 

 福田首相は会見の冒頭から、衆参ねじれ国会の中で困難を承知で政権を引き継いだが、最初から政治資金、年金記録問題など「積年の問題が顕在化し処理に忙殺された」と弁明。

 道路特定財源の一般財源化や消費者庁設置など「だれも手を付けなかった国民目線の改革に着手し一定の方向性を出した」と述べ、前週末には総合経済対策を取りまとめたが、臨時国会で対策を実施するための補正予算案や消費者庁設置法案など「国民生活に一刻の猶予もできない重要な案件を審議する」局面を前に、辞任を表明した。

 辞任を決断した理由について福田首相は「先の国会では、民主党が重要な案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行い、その結果決めるべきことがなかなか決まらない事態が生じた。今度開かれる国会で、このようなことは決してあってはならない。そのためにも態勢を整えた上で、国会に臨むべきと考えた」と述べ、「新しい布陣の下、政策の実現を図らなければならないと判断し、辞任を決断した」と語った。

 福田首相は新体制について言及を避けたものの、政府・与党内では国民的な人気が高い麻生幹事長への禅譲が今回の辞任表明の裏にあるとみる声が浮上している。

 今後、自民党総裁選を経て新総裁の下で首相指名選挙が行われ、新政権が誕生することになるが、市場では、麻生政権が誕生した場合、小泉政権から受け継がれてきた財政健全化路線の後退を余儀なくされるとの指摘が多い。

 麻生幹事長は就任直後から景気対策を優先順位の筆頭に掲げ、幹事長就任直後の報道各社とのインタビューにおいて政府が掲げる2011年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化目標の先送りに言及。2─3%の名目成長率が2─3年続いた上であらためて目標に掲げるべきとの考えを示している。

 このため、今後、公明党が強く主張し、総合経済対策に盛り込まれた定額減税をはじめとして財政拡大圧力が強まる可能性は否定できない。最後まで政府・自民党が慎重姿勢を示していた定額減税をめぐる攻防に決着をつけたのは、麻生幹事長だったと言われている。

 公明党の太田昭宏代表は首相の辞任表明後、記者団に対して「突然のことで驚いている、総理として熟慮した結果だと思っている」と述べるにとどめた。

 市場では、福田首相の辞任表明を受けて「あすから株式マーケットでは麻生太郎政権を前提に動いていくことになるとみられる」(新光証券・エクイティストラテジスト、瀬川剛氏)としながらも、「いずれ総選挙は避けられないだろう。麻生政権が成立したとしても暫定的となる可能性が大きく、株式マーケットとしても消化難となりそうだ」とし、とりあえずは様子見姿勢となる可能性が指摘されている。

 国民から相対的に人気が高いとされる麻生氏が政権を樹立することで、与党内では解散・総選挙に向けた追い風を指摘する声もあるが、政府内からは「2度続けて自民党が政権を投げ出した事実は重い。麻生氏の人気だけでカバーできるものではないだろう」と懸念する声が多い。 
 会見で福田首相は、自身の手で政策を仕上げることが首相としての責任ではないか、首相の辞任そのことが政治空白になるのではないかとの質問に対して「私が続けていくのと、新しい人がやるのでは間違いなく違うと考えた結果だ。政治的に判断した」と釈明。臨時国会が始まる今が「政治空白を作らない一番良い時期と判断した」と述べたが、安倍前首相に続く唐突な辞任表明が政治不信につながるとの重ねての質問には「安倍前首相とは全く違う。健康問題はない」と突っぱねた。
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by deracine69 | 2008-09-02 00:09 | 政治  

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