小泉元首相 引退に「チルドレン」ショック隠せず

9月25日22時46分配信 毎日新聞

 小泉純一郎元首相は25日夜、「27日の講演会の話」という名目で地元・神奈川県横須賀市の事務所に支持する県議らを集め、いきなり「政治家としての役割は終えた」と引退を切り出したという。30分後に事務所から出た元首相は車に乗り込み、報道陣から「引退するのですか」と問われると、うんうんと何度もうなずいた。

 元首相を支持し、05年の郵政選挙で当選した「小泉チルドレン」は突然の引退表明に驚きを隠せない様子だ。

 武部勤・元自民党幹事長の秘書から転身した篠田陽介衆院議員(35)=比例東海=は「恩人で、政治姿勢にも共鳴し、目標にしていた政治家。寂しいの一言。最後まで驚かせる人ですね」と話した。

 04年の新潟県中越地震当時の旧山古志村長、長島忠美衆院議員(57)=比例北陸信越=は、県内を車で移動中に引退のニュースを聞いた。「唐突なところが小泉さんらしい。若手には影響力があるので残念だが、政治には潔さも必要。チルドレンから自立して恩返しできれば」と語った。

 郵政民営化に反対した野田聖子消費者担当相の地元・岐阜1区に「刺客」として送り込まれた佐藤ゆかり衆院議員(47)=比例東海=は「あっぱれという思いだ。今後も広い意味で政治家として活躍し、アドバイスして欲しい」と話した。片山さつき衆院議員(49)=静岡7区=は「本人と話していない」とコメントを避けた。

 前回の郵政選挙で初当選した杉田元司衆院議員(57)=比例東海=は「思い出に残っているのは総理を辞められた後、1年生議員6、7人で高輪のラーメン屋で一杯やったこと。拉致被害者を北朝鮮に戻さないと決断した時、『いろんな人に一度だけ話を聞いて決断する。二度聞くと迷いが生じるから』と話したこと」と語った。

 一方、小泉改革で窮地に陥った人たちの見解は辛らつだ。

 公共工事削減の影響で06年、神戸市内で経営していた土木工事会社が倒産した市内の男性(61)は「家も何もかもなくした。経営者の仲間も2、3人自殺した。『痛みに耐えろ』とだけ言って投げ出すのは許せない」と今も憤る。

 派遣労働者の労働条件改善などに取り組む派遣ユニオンの関根秀一郎書記長(44)は「小泉改革の規制緩和が雇用に残したつめ跡は非常に大きい。日雇い派遣労働者など使い捨てとも言える雇用を許し、ワーキングプアを増大させた。前回衆院選の時、若年労働者は小泉元首相のワンフレーズに期待した。しかし、今彼らは最大の被害者だ」と批判した。

 午後7時半すぎ、東京都千代田区のゆうちょ銀本店で開かれていた店長会議を終えて出てきた男性店長(55)は「小泉元首相は郵政3事業を放り投げたまま、その後の方向性を示さなかった」とため息をついた。

 ◇猪瀬さんエール「今後も自由に」

 小泉政権で道路関係4公団民営化推進委員会委員を務めた東京都の猪瀬直樹副知事は25日、小泉首相の政界引退に「権力に執着のない小泉さんらしい直感的な判断でやめた感じがする」と語った。

 構造改革路線の後退も懸念されるだけに「改革の火種をうまく次の人たちにつなげる役割は残しておいてほしかった」と惜しむ。今後の小泉氏の活動については「改革の象徴としての小泉さんは存在していい。バッジがなくても、もっと純化して自由に発言してほしい」と期待した。

 また、小泉氏と遠縁でもある石原慎太郎知事は「彼らしくていいじゃないですか、さっぱりしていて。人材はたくさんいるんだから、どんどん新陳代謝していったらいい」と引き際をたたえた。【木村健二】
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by deracine69 | 2008-09-25 22:46 | 政治  

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