墓穴を深くした自民の麻生選出

2008年09月27日10時00分 ゲンダイネット

●麻生を選んだ自民党は自滅の道を加速させた

 自民党は終わった。それがハッキリ見えた総裁選ではなかったか。

 22日、新総裁に選出された麻生は投票日の4日も前に森元首相に電話して、幹事長就任を打診したという。もちろん、本気じゃないのだが、麻生の本性が透ける話だ。口では傲岸な物言いをするくせに、森にはこうして擦り寄る。森は子分の細田博之を幹事長に押し込み、石原幹事長代理の人事などの相談も受けたという。

「弱小派閥の麻生氏は最大派閥の森元首相に頼らざるを得ない。一方、森元首相も麻生氏ならば、コントロールしやすい。利害が一致し、早々と麻生総裁の流れができたのです」(政治評論家・浅川博忠氏)

 ちなみに官房長官が決まった河村建夫元文科相は今は伊吹派だが、元は町村派。文教族のドン、森の支配下にある。麻生は「開かれた総裁選が民主党と違う」とか言っていたが、笑っちゃう話で、薄汚いキングメーカーが裏で仕切り、勝ち馬に乗りたい議員が雪崩を打ったのが、今度の総裁選なのだ。そういえば、投票日の前から新聞には閣僚の人事話が躍っていた。

 折しも、リーマン・ショックに世界が揺れ、汚染米被害が全国に拡大、大臣、次官がダブル辞任した最中である。何やってんのか、この政党は。

●麻生が「勝つのが天命」とか言うマンガ

 今度の総裁選は党員投票の投票率が06年に比べて7ポイントも下がったそうだが、当たり前だ。このご時世に、総裁選の候補者である与謝野からして「幼稚園の遠足のようだ」と自嘲した5人組の全国遊説をノンキに半月もやっていたのだ。党員だってウンザリだったし、国民はホトホト呆れた。揚げ句に黒幕の森が出てくるアホらしさだ。

 民主党の山岡賢次は「(自民党の中にも)総裁選は完全に失敗だという認識に立っている人が多いようだ」と皮肉っていたが、本当だ。前出の浅川博忠氏も「100の効果を期待したのに10くらいだった」と言う。

 そんなドッチラケ選挙に勝った麻生は、就任挨拶で、政治空白を詫びるどころか、口を極めて民主党をののしり、「総選挙に勝って天命を果たす」とか力んでいた。2年連続ブン投げ政党が「天命」とは漫画だ。麻生や自民党を見ていると、「バカにつける薬はない」という言葉が浮かぶ。減らず口しか能がないような新総裁の誕生で自民党崩壊のカウントダウンが加速している。

●自民大敗の予想の中で結果はこうなる

 自民党は当初、華々しい総裁選を繰り広げることで、マスコミをジャックし、その勢いで衆院を解散、総選挙の劣勢挽回をもくろんでいた。

 しかし、こうなっては万事休すだ。今週末にはマスコミや自民党の世論調査が出揃う。党幹部が卒倒するような数字が並ぶのではないか。

 24日発売の月刊誌「サピオ」で「自民180議席」とはじいている政治評論家の野上忠興氏はこう言う。

「後期高齢者医療制度を見直すのか、しないのか。麻生氏は総裁選の途中でトーンダウンした。減税を巡り、態度が二転三転し、参院選で大惨敗した橋本龍太郎元首相を思い出しました。加えて、自民党が政治混乱を招いた張本人なのに、反省もせず、野党を批判する無神経。自分が総裁になれば選挙に勝てると思っている傲岸不遜も目に付きましたね。ただでさえ、共産党票が民主党に回り、学会票が自民党離れを起こしているのに、これじゃあ、選挙に勝てません」

 自民党にはどういう状況でも勝てる候補者が100人はいる。比例でも最低で50~60議席は取れる。180議席といえば、それに20議席しか上積みがない。壊滅的大惨敗ということだ。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏は今月頭、週刊現代で自民党204議席とはじいた。しかし、総裁選を見て変わったという。

「自民党本部はドッチラケでした。昨年の福田首相誕生のときの方がまだ熱気があった。総裁選で党員のテコ入れはできたかもしれないが、一般有権者はシラけている。麻生政権の内閣支持率は当初高く出るかもしれません。でも、麻生首相に期待すると言う人が『比例では民主党』という。最後までどっちに転ぶかわからない激戦区が80ありますが、4対1で民主党が制しそうです」

 麻生は解散を先送りさせるかもしれない。しかし、そうやって気休めのような補正予算を組んだところで景気はどんどん悪化する。進んでも退いても地獄の自民党はオシマイだ。

●もはや自民党は四分五裂へ向かっている

 衆院選での敗北が濃厚な自民党は、はやくも分裂含みだ。総裁選で圧勝した麻生太郎は「候補5人の対立はこの瞬間に終わっている」と党内の結束を呼びかけたが、総裁選で決定的になった党内対立は、もはや修復不可能。自民党は四分五裂に向かっている。

「もともと自民党の総裁選は、派閥分裂の歴史です。権力闘争だけに、遺恨が残りやすい。今回の総裁選で驚かされたのは、最大派閥の『町村派』と、鉄の結束を誇ってきた旧経世会の『津島派』が分裂したことです。しかも、感情的な対立になっている。もとに戻ることは難しいでしょう」(政治評論家・山口朝雄氏)

 町村派は、派閥オーナーの森喜朗と、小池百合子の擁立に走った中川秀直が対立。派閥の総会で中川秀直がスピーチをしている真っ最中に、森喜朗が「長いっ!」と面罵している。

 津島派では“与謝野支持”を打ちだした参院ドンの青木幹雄に、竹下登の実弟、亘が反旗を翻し、石破茂を擁立した。

「総裁選で事前の予想を超える議員票46票を取った小池陣営などは、公然と分派活動をはじめています。小池百合子は総裁選後の打ち上げで、『勝利宣言を行わなければいけない』『衆院選のマニフェストも我々で作ろう』と宣言し、中川秀直は『チェンジの会と命名し協力していこう』と挨拶している。自分たちだけのマニフェストを作るなんて前代未聞です」(自民党事情通)

 そもそも、総裁選で大勝した麻生陣営にしても、その大半は「勝ち馬に乗りたい組」で、本気で麻生総裁を支える勢力は、数十人しかいない。自民党内はバラバラだ。

●選挙後に政界再編は選挙民を愚弄する戯れ言だ

 自民党が総選挙で過半数割れすることを見越して、すでに政界では衆院選後の「政界再編」が既定路線になりつつある。沈んでいく自民党から逃げ出し、民主党政権に加わろうとする自民党議員が続出すると予想されているのだ。

 自民党が過半数を失った時、確実に「新党」を結党するとみられているのが小池百合子だ。

「小泉―小池―中川の3人は、新党結成で腹を固めたとみられています。小泉純一郎はチルドレンを前に『もし、民主党が政権を取ったらどうなるか。社民党や共産党の話を聞いてもしょうがないだろ。必ず自民党に協力を求めてくる』と話しています。選挙後に小池百合子を党首に据えて『上げ潮新党』を立ち上げ、政界再編のキャスチングボートを握るつもりです」(政界関係者)

 さらに、政界の水面下で囁かれているのが「与謝野新党」だ。「財政再建路線」を掲げて20人規模で離党する可能性がある。しかし、自民党の看板で選挙を戦いながら、負けたら選挙後に「新党」を立ち上げるなんて許されるのか。九大名誉教授の斎藤文男氏(憲法)が言う。

「有権者は自民党政権がいいか、民主党政権がいいか考えて投票するのです。なのに選挙後に離党して政権に加わろうなんてルール違反です。公明党も選挙後に民主党と連立して政権入りしようなんて許されません」

 選挙後に新党を立ち上げても、国民からはソッポを向かれ、はぐれガラスになる可能性が大だ。

●民主党政権で景気回復と格差是正と地方再生の動きが始まる

 自公与党の経済センスのなさは、犯罪レベルだ。世界を揺さぶったサブプライムローン問題は対岸の火事だったし、リーマン・ショックに襲われても総裁選候補らはドンチャン騒ぎをやめなかった。

 しかし、これには理由がある。自民党政権には景気対策を打つ手も知恵もないのである。安倍も福田も格差是正を言いながら小泉路線を引きずり、何もできなかった。今度の麻生も後期高齢者医療制度や年金制度の抜本改革には手を出せない。そんなことをやろうとしたら、役人が黙ってないし、予算の組み替えみたいな話になるからだ。だから、同じような経済無策が続き、10年以上も実質不況が続いているのだ。出口の見えない閉塞状況にピリオドを打てるのは政権交代だけだ。明大教授の高木勝氏(現代経済)がこう言う。

「政府がまとめた総合経済対策は、たった1.8兆円。過去の政策の焼き直しを羅列したに過ぎず、カンフル剤にはなり得ません。対する小沢代表は総額22兆円規模の大胆な政策を打ち出した。これぐらい大ナタを振るわないと、景気を刺激することはできません」

 麻生はバラマキを言うが、小出しだ。そんなもん、選挙向けのパフォーマンスにもなりゃしない。

 3選を果たした小沢代表は、政権獲得直後の高速道路無料化を明言。今年4月には、国交役人の財布となっていたガソリン税の暫定税率撤廃でガソリン代を25円値下げした。こんなことすら自民党にはできなかった。こうやって生活コストを削減させ、年金や医療などの社会保障制度の安定化や子育て支援などで格差是正を側面支援するという。財源は予算の大胆な組み替えである。

 景気が良くなれば、おのずと格差是正、地方再生につながっていく。

●これから自民と官僚の癒着による犯罪が糾弾される

 民主党政権が近づいてきたことで、霞が関の官僚たちは戦々恐々となっている。「官僚支配の打破」を公約に掲げているからだ。小沢首相が誕生したら、官僚の腐敗や政治家との癒着が次々に糾弾されるのは間違いない。

「自民党政治とは、一言で言えば官僚政治です。結党から50年、財界と癒着し、官僚機構と二人三脚で日本を支配してきた。その裏にはまだ表に出ていない深い闇があるのです」(立正大教授・金子勝氏=憲法)

 汚染米の問題などは象徴だ。小沢一郎は若くして自民党の幹事長に上りつめた男だ。自民党と官僚の癒着の実態なら誰よりも知っている。甘い汁を吸ってきた官僚たちは、血祭りになるのではないか。

「野党が参院で過半数を握っただけで、年金問題や居酒屋タクシーなど、官僚の腐敗堕落が次々に暴かれています。政権を握ったら、あらゆる内部資料が入手できるだけに、徹底的にメスを入れていくはず。政権交代とはそういうものなのです」(斎藤文男氏=前出)

 小沢政権誕生後は霞が関から逮捕者が続出してもおかしくない。

●小沢首相はこの国の改造に強力に動き民主政権を永続させる

 21日の臨時党大会で民主党代表に3選された小沢は、その後の記者会見で、総選挙で自公政権が過半数なら政界引退かという質問に「政治生命のすべてをかけると言っている」と決意のほどを示した。

 1969年、27歳で初当選から約40年、93年に51歳で自民党を離れてから15年。小沢一郎は最後の大勝負をかけようとしている。

 一部には「民主党が政権を取ってもすぐに行き詰まる」という見方もある。小沢首相になっても「健康問題がネックになる」と言う人もいる。

 しかし、最近の小沢を見ていると、選挙後を見越している。

 自民に切り崩されないように野党共闘を万全にし、矢野喚問をチラつかせ公明・学会を揺さぶることにも成功。一方で、自ら選挙区のクラ替えを示唆し、党内を引き締めている。この男の政治的カンは冴えている。民主が政権を取ったら、散り散りになるのは自民の方だ。

 法大教授の五十嵐仁氏(政治学)も「小沢さんの本気度、やる気は十分伝わってきました」とこう言う。

「小沢さんは自民党に踏みとどまっていれば総理になれた。それなのに、自民党支配ではない形で、日本の政治を変えたいと飛び出した。2代続けて政権を放り出した無責任な自民党とは明らかに違いますよ」

 その象徴が「官僚支配構造」をブチ壊し、国民不在の行政システムを改めることだ。すでに「与党議員100人以上が副大臣、政務官として政府内に入り、議員主導で予算の総組み替えを行う」と公約している。

 官僚支配を打破できれば、予算の使い方が劇的に変わる。自民党を分裂させ、霞が関支配を崩せば、ようやく、日本にも国民本位の政治が根付いていく。当分、民主党政権が続くことになる。
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by deracine69 | 2008-09-27 10:00 | 政治  

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