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資材高騰、建築想定費上回る ゼネコン苦戦、後だし値上げ

10月4日12時0分配信 フジサンケイ ビジネスアイ

 建築資材の価格が上昇し、コスト削減など企業努力だけでは吸収できなくなっていることから、大手ゼネコンは、着工済みの民間建築物について工事費の引き上げ交渉に乗り出している。発注者から建設業者に支払われる工事費は、請負契約時に決められることになっており、着工後、資材高騰などで実際の費用が想定以上にかさんだとしても、工事費引き上げには発注者との交渉が必要。

 一部で引き上げ実績は出ているものの、大半の発注側にとって、簡単に応じられる話ではないという。資材高騰は収益圧迫が大きく、ゼネコンにとって、引き続き頭の痛い問題となりそうだ。

 「工期の短い工事の一部で、引き上げの実績が出てきた」。ゼネコン66社からなる建築業協会の野村哲也会長(清水建設会長)は9月22日、都内で開いた会見で、工事費の引き上げ交渉が浸透しつつあることを強調した。同協会は7月、資材高の影響を勘案するよう民間事業主に求めたパンフレットを他の業界団体と作製、会員企業に配布するなど対応を進めている。

 個別交渉も進んでおり、たとえば、ビル工事費だけでも約200億円が見込まれるJR九州の新博多駅ビル工事では、施工を手がける5社を代表して清水建設が交渉、資材高騰を吸収できなければ、工事費を3~4%値上げする方向で求めている。

 資材高の背景にあるのは、新興国での産業拡大に伴い、鋼材需要が上がっていること。昨年末から今年初めにかけ1キロ80円程度だった「H形鋼」の価格は120円台にまで値上がりした。6月には国土交通省が公共工事で、鋼材上昇分の一部を価格転嫁することを認めた「単品スライド条項」発動を決定。これが、ゼネコンが民間工事の工事費引き上げ交渉を進める心理的な後押しとなっている。

 ただ、デベロッパー関係者によると、「契約内容をほごにすることになり、何のための契約か分からなくなる。工事費引き上げは受け入れがたいことで、うちでは実績ゼロ」という。

 別の業界関係者も「1年前に『工事単価1万円』と決めたものを、いきなり『1万3000円』にはできない」という。追加工事の査定を甘めにし、発注を多めにするくらいの“サービス”なら可能だが、そういった“裏技”も資材高騰をカバーしきれるものでないといい、建設業界の苦悩は当面、続きそうだ。

                   ◇

【予報図】

 ■経営弱体化、苦境は続く

 鋼材価格が5割値上がりすれば、工事費は場合によっては8.2%以上上昇-。こんな計算を、建築業協会が実施した。帝国データバンクの調べによると、8月の建設業者の倒産件数は307件で、前年同月比12.9%増。前月(324件)に続いて、今年2番目の低水準だ。

 新興不動産の倒産による建設請負代金の焦げ付きが引き金だが、資材高騰による経営弱体化が根本にある。

 国土交通省によると、2008年度の建設投資見込みは49兆3600億円。建設投資が70兆~80兆円だった1990年代の6割近い低水準で、業界の苦境は続きそうだ。(山口暢彦)

by deracine69 | 2008-10-04 12:00 | 経済・企業  

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