国の補助、使わにゃ損 12道府県「はり付け」横行

2008年10月22日3時2分 朝日新聞

f0013182_12293111.jpg 12道府県の不正経理問題で、自治体予算から出すべき旅費やアルバイト賃金を国の補助金から出す「はり付け」という手口が横行していたことが会計検査院の調べで分かった。岩手県から公金の保管を依頼されていた業者は「預かった金でビール券を出せと言われた」と証言した。検査院は残りの都府県もすべて調査する方針で、独自に調査を始める自治体も出てきた。

 検査院によると、旅費やアルバイト賃金など、道府県で負担すべき予算を国の補助金で充当する「はり付け」という手口が多くみつかった。例えば、国の補助金が出ている道路建設事業で、完工式に幹部らが出向く旅費は県の予算で支払うべきだが、補助金を使っていたという。

 年度末に事務用品などを業者に大量発注したように装い、業者に公金をプールしておく「預け」が年度内の予算使い切りを動機としているなら、「はり付け」は国庫補助金をできるだけ使おうとする意図が見え隠れする。「道府県の予算を残し、補助金を使い切ろうとしている」(検査院幹部)という。

 ただ、旅費や賃金について「補助金を出す省庁からはっきり基準を示されてこなかった」と12道府県からは困惑する声も出ている。国の補助金の不正額の約8割が旅費に絡むものだと指摘された北海道は、「これまで通り、セミナーや会議の旅費に国庫補助金を使ってきたが、直接、補助事業と関係ないと指摘された」と話した。

 一方、岩手県から「預け」を依頼されていた業者が21日、朝日新聞社の取材に対し「(県側から)ビール券や商品券を求められた」などと証言した。

 盛岡市のこの業者は「だいぶ前のことで、どの部署だったかはっきり覚えていない」としながらも、「預けた金からビール券や商品券を出してくれないか、と依頼されたことがあった」と話した。依頼はすべて断っていたという。

 「預け」の依頼は県側からあったといい、本来の納品書の商品と異なる商品を納める場合は、改めて納品書を作成し、県の担当者に渡していたという。「預けに応じられないと言えば、ほかの業者に(納品を)頼むということになりかねない。断れなかった」と話した。

■自治体側「見解の相違」

 不正経理を指摘された12道府県の受け止めはさまざまだ。「預け」について愛知県が取引業者にプールしていた金を「裏金」と認めた一方、ほかの道府県は「裏金との認識はない」との認識。「はり付け」については「見解の相違」との声も多い。

 「預け」について、岩手県では20日の県議会決算特別委員会で緊急の集中審査が行われ、「裏金ではないか」という委員の質問に対し、県側が「裏金の定義にもよるが、裏金ではないと考えている」と答えた。

 北海道の担当者は「道内外の会議やセミナーの旅費に国の補助金を使っても何も言われなかったのに、今回、検査院から『認めません』と言われた」と戸惑いを隠さない。検査院と協議を続けているが、あくまで「不適切な事務処理扱い」という認識だ。

 群馬県の茂原璋男副知事は「県が国の補助事業費でまかなえると考えていた支出が、検査院との見解の相違で不適切と判断された」。長野県や京都府も旅費について「見解の相違があった」とした。

 こうした中、12道府県以外の自治体で自主的に調査を始める動きが出始めた。

 埼玉県の上田清司知事は21日の会見で、県独自に調査を行うよう関係部署に指示したことを公表。補助金の不正経理の有無について来週にも中間報告を発表するという。

 秋田県の寺田典城知事も20日の会見で各部局に調査を指示したと公表。01年度に県や県教委、県警が8億円の裏金をプールしていた問題が発覚した香川県では、真鍋武紀知事が事前通告なしの経理検査など現在の再発防止策が機能しているか確認するよう指示したことを明らかにした。

 民主党の決算・行政監視調査会は21日、自治体の不正経理問題で検査院と総務省の担当者から事情を聴いた。総務省は朝日新聞の取材に対し「今回の件は新聞報道などで情報を集めている。地方分権の時代でもあり指示はしづらい」と話した。
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by deracine69 | 2008-10-22 03:02 | 行政・公務員  

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