福祉食い物、巨額マージンに群がる業者 郵便割引悪用

2008年10月26日11時32分 朝日新聞

 福祉目的の郵便割引制度を悪用した格安のダイレクトメール(DM)広告が横行している実態が裏付けられた。関係者が朝日新聞の取材に認めただけでも1500万通。DM広告発送の最大の経費である郵送費の不正な圧縮による膨大な差益は、仲介会社の「マージン」などに消えていた――。不正の把握に向けて郵便事業会社(JP日本郵便)も本格的な調査に入っている。

 主役は、大手印刷・通販の上場会社「ウイルコ」(石川県白山市)と年商約58億円の印刷会社「アド印刷」(福岡市)、それに両社と障害者団体をつないでいた広告会社「新生企業」(大阪市西区)の3社だ。

 「福祉を食い物にしていた」。ウイルコとアド印刷のそれぞれの関係者が取材に打ち明けた。

 印刷会社であるウイルコやアド印刷は、広告主から大量のDM広告物の印刷を受注できれば、まずそれで利益を得る。しかし、アド印刷の関係者は「印刷の受注。それに加えてマージンが目当てだった」と説明する。

 仕組みはこうだ。制度を使わなければ、どんなに割り引いてもらっても、DM広告1通あたり少なくとも48円の郵送料がかかる。だが、制度を使えば8円。40円以上が浮く計算で、この中の一部から手数料名目で「マージン」を抜いてしまうのだ。業界では「ロイヤリティー」とも呼ばれていた。

 アド印刷の営業関係者はロイヤリティーについて「労働が要らず全額が純利益になる最大のうまみだった。郵便料金が極端に安いので、ロイヤリティーを上乗せしても価格競争ができた」と明かす。「新生企業から持ちかけられたある契約で、新生企業はDM1通当たり6円を『ロイヤリティー』として上乗せしていた。そこにアド印刷も数円のロイヤリティーを上乗せした」と明かす。

 このマージンを狙って契約の仲介を買って出る企業も出てきたという。大手商社系の紙パルプ業者(東京)は、三つの会社に制度を使ったDM広告の発注をもちかけて約600万通の契約を結び、中間マージンをとったうえで、ウイルコに再委託していた。こうした「代理営業」をする会社によって、制度の悪用がさらに広がったという。

 様々な名目でのマージンの二重三重の上乗せ。それでもDM広告の発注元だった食品会社幹部は「見たこともない安さだった」と話す。制度の利用が判明した各社は、いずれもコンプライアンス上の問題があったことを認めて、今後は低料第3種をDM広告に使わないことを決めた。

 一方、ウイルコとアド印刷を含めて、少なくとも5社とDM広告の取引をしていた新生企業は「一切ノーコメント」としている。

 一連の問題について、日本郵便は「制度が本来の趣旨通り運用されていない場合は、年内をめどに改善策をとりまとめ、速やかに実施する。個別事案でも是正や取り消しなどの措置をとる」として調査を急いでいる。(上沢博之、野村周)
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by deracine69 | 2008-10-27 00:52 | 社会  

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