田母神隠しの質疑 与野党とも異例の「黙らせ戦術」

11月12日8時3分配信 産経新聞

 「村山談話」など政府見解と異なる内容を含む論文を公表し更迭された田母神俊雄前航空幕僚長を参考人招致した11日の参院外交防衛委員会は、与野党とも田母神氏の発言を可能な限り封じるという異例の展開をみせた。それでも田母神氏は持説を繰り返し、懲戒処分の審理を経ずに解任された不当性を訴えたが、政府側は「時間がなかった」と繰り返すばかり。あいまいな決着に、自民党からは政府の対応を疑問視する声も出ている。

 民主党の北沢俊美委員長は委員会冒頭、「決して本委員会は参考人の個人的見解を表明する場ではない。簡潔な答弁をお願いする」と語り、田母神氏にクギを刺した。これに先立つ理事会では、田母神氏が制止を聞かずに持説を展開した場合、衛視により退場させる可能性にまで言及、審議中に田母神氏の発言を制する場面もたびたびあった。

 委員会を田母神氏の主義主張を宣伝する場にしたくないとの思いは与野党共通で、質問の矛先は浜田靖一防衛相らに集中した。

 民主党の浅尾慶一郎氏は、懲戒手続きを経ずに田母神氏を退職させたことが「規律違反の疑(ぎ)がある隊員をみだりに退職させてはならない」と定めた自衛隊法施行規則72条に違反すると追及したが、浜田氏は「懲戒手続きの審理には時間がかかるため、迅速な対応が必要と考え退職していただいた」との主張を繰り返した。

 11日朝の自民党国防関係合同部会では、こうした政府側の対応を危惧(きぐ)する声が相次いだ。

 防衛省が田母神氏の懲戒処分を検討したことについて、岩永浩美参院議員は「田母神氏の持論がなぜ悪いのか」と発言。土屋正忠衆院議員も「ものの考え方で懲戒処分しようというのなら、憲法の思想信条の自由はどうなる」などと田母神氏を擁護した。別の議員は「論文で政治問題化させたことの当、不当と歴史認識は別問題。政府がそこを混同するととんでもないことになる」と吐き捨てた。

 「何というか、言いたかったことを十分いえなかったな」。田母神氏は委員会終了後、国会内で記者団にこう感想を語った。一方、麻生太郎首相は同日夜、記者団に「言論の自由は誰にでもあるが、文民統制をやっている日本の中にあって幕僚長というしかるべき立場の人の発言としては(論文は)不適切。それがすべてだ」と述べた。

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【用語解説】田母神俊雄前航空幕僚長の論文

 マンション・ホテル経営「アパグループ」主催の懸賞論文に、現職空自トップの立場で「日本は侵略国家であったのか」と題する論文を応募し、最優秀賞を受賞。「わが国が侵略国家だったなどというのは正にぬれぎぬだ」と主張したことが、植民地支配と侵略を謝罪した平成7年の「村山談話」などの政府見解に反するとして更迭された。

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【用語解説】自衛隊法施行規則72条

 規律違反の事実調査や審理を行うため、自衛隊員の勤務停止を規定。「任命権者は、規律違反の疑がある隊員をみだりに退職させてはならない」とも定めていることから、民主党は田母神俊雄前航空幕僚長を定年退職とした政府の対応に疑義を挟んだ。
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by deracine69 | 2008-11-12 08:03 | 政治  

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