大阪「正論」懇話会 田久保忠衛氏の講演要旨

2008.11.20 22:25 産経新聞

大阪正論懇話会第13回講演会で「米大統領選後の国際情勢」について講演する田久保忠衛氏=20日午後5時32分、ウェスティンホテル大阪(塚本健一撮影) オバマ氏当選で米国は沸き立っているが、私は水を差したい。米国民はオバマ氏の一言「チェンジ(変革、変化)」で熱狂するが、何をどう変えるのか分からない。意味の分からないキーワードで盛り上がるのは異常である。

 マスメディアも異常だった。選挙期間中に米新聞の60~70%がオバマ支持を掲げて社説を書き、報道もそれに沿っていった。日本の(メディアの)偏向報道どころではない。米の新聞もこの程度のものかという感を強くした。

 また、オバマ氏に関する報道はタブーもあった。オバマ氏は「フセイン」というミドルネームを持つが、フセインという名前の理由はどの新聞も報じない。人種差別といわれるのがいやだからだ。オバマ氏と極左組織の闘士だったウィリアム・エイヤーズ氏との関係を追及することも米紙はためらった。これはどうしたことか。オバマ氏に対する「期待値バブル」がはじけたとき、これらの問題を追及する機運が出てくるだろう。そうなったとき何が出てくるか、恐ろしい気がする。

オバマ氏はエネルギー、健康保険、イラクを重要課題としている。イラク問題でオバマ氏とブッシュ大統領がどう違うかというと、オバマ氏が撤退の時期を16カ月以内としているだけで、大きなチェンジとはほど遠い。オバマ氏はアフガニスタン問題に力を入れ、国際テロ組織アルカーイダを壊滅させるといっているが、これはブッシュ大統領と同じだ。

 また、オバマ氏の対中国政策は封じ込めと寛容政策で、キーワードは「責任あるステークホールダー(利害共有者)」。ブッシュ大統領とあまり変わらないだろう。

 国際情勢で、米に大きな変化はないだろう。では、日本はどうしたらいいのか。今、中国の軍事費は日本の防衛費に比べ事実上3倍ある。このままのスピードでいくと、10年後に10倍、20年後に20倍になる。これに対し、日本は覚悟を決めないといけない。独自で対抗するのか、米との同盟を強めるのか。私は日米同盟をもっと強めなければと考える。

 しかし、日本は安全保障上の役割を果たしていない。インド洋での給油活動で日本の海上自衛隊は昨年、一時撤退してしまった。今の(国会で審議されている)新テロ対策特別措置法改正案も可決されるか、はっきり決まっていない。これでは同盟国として信頼されない。中国に対する大きな戦略的立場は念頭にないのか。この重要性を強調しておきたい。
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by deracine69 | 2008-11-20 22:25 | 社会  

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